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野村ホールディングスの株主総会での永井会長と奥田社長の取締役重任の会社側議案に対し、米議決権行使助言会社のISSとグラスルイス、賛否の推奨で分かれる(RIEF)

2025-06-04 23:20:01

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 野村ホールディングスは4日、米国の議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が株主総会で永井浩二会長と奥田健太郎社長の取締役重任の会社提案議案に対して反対推奨を受けたことを踏まえ、株主に向けて提案の妥当性を強調する声明を出した。ISSの反対推奨は、昨年、金融庁から国債先物取引での法令違反の指摘を受けたほか、野村證券の元社員による複数の不祥事による経営責任を問う形だ。野村の「見解」はこれらの事件を受けた役員処分や再発防止策を説明したうえで、足元の好調な業績等にも触れ「両氏が取締役会を構成するメンバーとしてふさわしい人材であると考え、取締役候補者を決定した」としている。

 

 野村ホールディングスの株主総会は24日に開かれる。株主提案では、ISSが一連の不祥事での経営責任を問う形で、両氏の再任に反対推奨を行っている一方で、同じ米国の議決権行使助言会社のグラスルイスは、同社関連の不祥事は、あくまで元社員個人の行動によるものであり、組織的な問題や関与等は認められないうえに、再発防止策や対応策の策定・実行、役員報酬の自主返上等を通じて一定の責任を果たしている等を理由として、両氏の再任に賛成推奨を行っている。

 

 野村グループで起きた不祥事はまず、野村證券で2021年3月の国債先物取引において、同社社員だったトレーダーによる国債先物の相場操縦が発覚。2024年10月に金融庁から法令違反に該当する事実が認められたとして、課徴金納付命令を受けた。

 

 また同年10月に、野村證券元社員が広島市の顧客の高齢女性に睡眠作用のある薬物を飲ませたうえ、現金を奪って住宅に火をつけたとして、広島県警に強盗殺人未遂と放火の罪で逮捕された。メディアの報道によると、被害者は「大手証券会社として信頼を寄せていた方に裏切りを計られた」とコメントしている。

 

 今年2月には、別の同社社員が、24年1月22日から23日にかけて東京都中野区の70代女性に対し、社員向けの積立金制度があり、「年2%の利率で運用できる。元本は必ず保証される」などとウソを言い、自身の口座に1000万円を振り込ませた疑いで警視庁に逮捕された。

 

 ISSはこれら一連の不祥事が連続して発生したことについて、同社のガバナンス(企業統治)に懸念があると指摘している。

 

 野村ホールディングでは、今月24日に開催予定の第121回定時株主総会に提出する「第1号議案 取締役12名選任の件」において、両氏の重任を盛り込んでいる。