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寿命を迎えた太陽光パネルを約95%の高率でリサイクル可能な熱分解処理法、岡山の中小企業が開発。パネル大量廃棄時代の到来に向け、普及に期待(各紙)

2021-06-16 23:51:19

solarwasteキャプチャ

 

 各紙の報道によると、寿命が尽きた太陽光発電パネルを約95%の高率でリサイクルする熱分解処理法を、従業員10人の「新見ソーラーカンパニー」(岡山県新見市)が開発した。政府の「2050年ネットゼロ」宣言で、太陽光発電需要がさらに高まるとみられる一方で、パネルの寿命は25~30年とされ、今後、大量廃棄も想定されている。CO2削減に加えて、サーキュラー経済への貢献が期待される。

 

 日本経済新聞が報じた。同社は2009年の創業。従業員は10人で、ソーラーシステム販売、同製品開発、ネット通販事業等、太陽光発電関連の事業を展開している。同社が開発した廃棄パネルの処理方法は、長さ12m、幅2m、高さ1.5mの炉で、廃棄した太陽光パネルを処理する。事前処理、分解処理、後処理の順でワンストップで処理できる。

 

   炉に投じられたパネルは、電気による熱エネルギーで炉内温度を数百度の高温に引き上げて約15~20分程度加熱する。すると、接着剤とプラスチック材のバックシートは分解処理され、ガラス片、銅線、太陽電池のセル片等が残る。これらはいずれもリサイクル可能。セル片はシリコンの製造業者、加工会社を経て太陽光パネルや半導体のチップなどに再生する。パネル全体の95%以上がリサイクルできるという。CO2の排出もないとしている。

 

Solarpanelキャプチャ

 

 従来のリサイクル方法では、シュレッダーなどでパネルを破砕するなどの方法がとられ、リサイクル可能な部材はガラス等に限られ、リサイクル率も70%程度だ。ガラス等に異物が混入する課題もある。ガラス以外の部品のリサイクルには後処理の過程が必要だった。同社は開発した熱処理方式について、国内での特許や国際特許を出願中のほか、中国実用新案登録も申請中としている。

 

 熱処理方式の装置は、パネルの処理量を従来の日量15~20枚から、50枚程度に引き上げた。一台当たりの製作費は1億5000万~2億円。同社では「売りっぱなしでなく、再資源化の責任も果たしたい」(佐久本秀行社長)として、今後は連携企業を募集し、量産化を目指したいとしている。

 

 太陽光発電は2000年代以降にわが国でも広がった。国内では2012年の固定価格買い取り制度(FIT)がスタートしてからさらに拡大したが、同制度は20年間の時限措置で、期限切れとなる2032年ころからパネル廃棄量の拡大が予想されている。環境省の推計では「30年代後半から年間50万~80万㌧分が寿命を迎える」(リサイクル推進室)としている。

 

http://niimi-solar.com/factory.html