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大飯原発:福井県が塗りつぶした拡散予測図(Greenpeace)

2012-06-19 20:51:38

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6月16日、福井県が関西電力大飯原発の再稼働を容認し、その後政府が再稼働を許可する決定を下した。しかし、住民の安全・安心軽視の体質は改善されていないどころか、むしろ悪化しているとさえ言える。そんな体質を顕著に表したのが、黒塗りにされた放射性物質拡散予測図だ。

グリーンピースは、4月10日に福井県に対して大飯原発での過酷事故を想定した放射性物質拡散予測図を情報公開するよう求めた。そして、5月9日、滋賀県が福井県に提供した予測図の一部が開示された。

開示された予測図は、提供元の滋賀県を残してすべてが黒く塗りつぶされているという驚きのものだった。

これでは、福井県の住民が、大飯原発で過酷事故が起きた時にどのような影響を受けるのかを知ることはできない。

地元では「再稼働をすれば雇用が確保できる」という再稼働のメリットばかりが強調されているが、再稼働によって被るかもしれないリスクはしっかりと伝えられていない。

明らかに情報が偏っているのだ。

福井県民も同様の情報公開を行ったが、同じく黒塗りの図が公開されたという。

 

大阪府、京都府はすでに公開済み

ちなみに同様に滋賀県の予測図の提供を受けた大阪府と京都府は、すでに予測図を公開している。

また岐阜県も公開に応じたが、今回の予測では岐阜県に汚染の及ぶ範囲がなかった。

これまで開示を行わなかったのは兵庫県(不開示)、三重県(一部開示)、福井県(一部開示)というわけだ。

 

理由は「防災対策事務の適正な遂行に支障を及ぼす」

福井県が滋賀県以外の部分を黒塗りにした理由は「滋賀県および福井県が行う防災対策に係る事務に関する情報であって、公にすることにより、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため」とある。



ようするに、この情報を公開することによって自らの防災対策に問題が起きると考えているらしい。それでは、福井県自身は大飯原発の過酷事故を想定した放射性物質の拡散予測をしているのだろうか?

4月10日、グリーンピースは、福井県がSPEEDIを使った大飯原発の拡散予測をしているかを確かめるために、「大飯原発に関する過酷事故を想定したSPEEDIシミュレーション結果」の情報開示も行っていた。

この情報開示請求に関して福井県は4月24日、「過酷事故を想定したシミュレーションは行っておらず、公開請求に係る公文書が存在しないため」と回答し、開示を行わない決定を通知してきた。



つまり、福井県はSPEEDIを使って過酷事故による放射性物質拡散のシミュレーションを行うことができるにも関わらず、それすらも行っていないのだ。

滋賀県から提供された予測図を黒塗りにし、SPEEDIのシミュレーションを行わずに、再稼働が決められた。

リスク情報をしっかりと住民に知らせるということは、福島第一原発事故における重要な教訓であったはずだ。この点だけを見ても再稼働判断がいかに住民の安全や安心を軽視しているかわかる。

いますぐにでも、すべての原発においてSPEEDIなどを用いた過酷事故時の放射性物質の拡散情報を住民に伝えるべきだ。

 http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/speedi/blog/41016/