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INPEX(旧国際石油開発帝石)、ベネズエラでの石油・ガス開発から撤退。地元のプライベート企業に利権を売却(各紙)

2021-08-31 18:34:54

IMPEXキャプチャ

  各紙の報道によると、INPEX(旧国際石油開発帝石)は、ベネズエラに保有する天然ガスの権益と石油合弁会社の株式を地元企業スクレ・エナジー・グループ(Sucre Energy Group)に売却、ベネズエラの事業から撤退する。脱化石燃料戦略の一環とみられる。売却額等は明らかになっていない。

 ロイター通信が伝えた。INPEXが売却を決めたのは国営石油会社PDVSAと共同で展開してきたガス・グアリコでの天然ガス事業の70%の権益と、合弁会社ペトログアリコの株式30%。

 利権を購入するスクレは、地元の首都カラカスを拠点とする石油・エネルギー開発のプライベートカンパニー。オランダにも拠点を置く。手に入れた既存の石油・ガス利権を生産効率化によって増産させる事業を展開している。

INPEX002キャプチャ

 ベネズエラは反米左派のマドゥロ政権の失政と米国の経済制裁の影響等で、インフレ率2000%という超ハイパーインフレに見舞われて経済が大混乱を続けている。8月は3年ぶりのデノミ(通貨切り下げ)に追い込まれた。

 進出していた外資の撤退も相次ぎ、エネルギー分野では仏トタル・エナジーズとノルウェーのエクイノールが同国原油はCO2排出量が多いとの理由で、PDSAとの合弁事業から撤退している。INPEXの撤退はこれに次ぐ。ただ、トタルとエクイノールは原油生産からは撤退したが、天然ガスの利権は維持している。

   今回の撤退に先駆けて、INPEXと三菱商事、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によるコンソーシアムも、ベネズエラの石油・ガス資源地帯であるオリノコ川沿岸でのジョイントベンチャー「Petroindependencia」への出資(5%)を引き揚げている。

 買い手となるスクレ等の地元企業は、多国籍企業が同国の石油事業投資から撤退する中で、受け皿として活動しているようだ。マドゥロ政権も経済制裁の影響もあって、政権としての国内経済界への過剰介入や企業規制等をスケールダウンしているとされる。

 スクレは南米のエクアドルの石油事業にも投資している。ベネズエラでは天然ガス事業に力を入れている。脱炭素化の流れで、石油よりもガス事業の収益性が高まっているためだ。

https://www.reuters.com/business/energy/exclusive-japans-inpex-sells-venezuela-oil-gas-assets-local-group-sources-2021-08-27/

https://www.reuters.com/business/energy/venezuela-adjusts-sanctions-spur-western-oil-partners-retreat-2021-06-01/