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「レンズ風車」型小型風力発電開発の九州大学発ベンチャー企業と、新電力のシン・エナジーが業務提携。地域に馴染む「地産地消型」再エネとして全国展開目指す(RIEF)

2022-03-16 23:58:41

renzu001キャプチャ

 

 新電力のシン・エナジー(神戸)は、九州大学発ベンチャー企業であるリアムウィンド(福岡市)と提携し、リアムウィンドが開発した「レンズ風車」を活用した風力発電設備の販売に乗り出す。同風車は、同じブレードサイズの通常の風車に比べて、2~3倍の出力が出るほか、弱い風でも発電できるという。シン・エナジーでは、地域に馴染む再エネ発電の地産地消事業として、全国での販売・普及を目指す。

 

 (写真は、㊧が九州大学応用力学研究所の大風洞内で性能テスト中の1kWのレンズ。㊨は「輪っか」を3基組み合わせた北九州市響灘での実証実験の模様)

 

 「レンズ風車」は、九州大学レンズ風車開発研究プロジェクトチームとリアムウィンドが共同開発した。同チームの代表を、リアムウィンド社長で九州大学の応用力学研究所の特任教授でもある大屋裕二氏が務めている。

 

 風車は、ブレード(羽根)の周りに集風体となる「輪っか(ディフューザ)」が付いている。この集風体の効果で、同じブレード・サイズの風車に比べて、出力増加が期待できるほか、ブレードと集風体との流体学的相互効果で、ブレードの先端渦を抑制し、風切音をほとんど感じさせないとしている。

 

 また、通常の風車で起きるバードストライク問題についても、鳥には「輪っか」が見えることから、従来に比べるとストライクは起きにくいとしている。レンズ風車は純国産風車機メーカーとして唯一のClassNK認証(一般社団法人日本開示協会)を取得している。

 

 小型風車は、大型風車に比べて省スペースかつ、施工期間も短いというメリットがある一方で、コストが高いことから、これまで普及が進んでこなかった。シン・エナジーは、全国規模で再エネ事業の地産地消を進めており、同風車を「地域に馴染む風力発電所」として設置を推進する。各地に普及させることで量産体制を築き、コスト削減につなげたいとしている。

 

 発電量は一基で1kW、3kWで、これを3基、5基、10基と組み合わせることができる。将来的には、 洋上に一辺が100m規模の浮体を浮かべ、その上に数100kW級のレンズ風車を複数設置する洋上風力発電事業も可能としている。

 

https://www.symenergy.co.jp/news/20220309-7154.html

http://www.riamwind.co.jp/index.php