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バルト3国の一つ、リトアニア。ロシアからの天然ガス輸入を完全に停止。EU諸国で初めて。「侵略者とのエネルギー関係を断ち切った」とリトアニア大統領。日本も見習うべきではないか(RIEF)

2022-04-04 14:32:43

Lithuaniapresidendtキャプチャ

 

  欧州バルト3国の一つリトアニアのギタナス・ナウセダ(Gitanas Nauseda)大統領は2日、「今月(4月)からロシア産の天然ガスをわが国に輸入していない。何年も前から検討していたが、今回、侵略者とのエネルギー関係を断ち切った。われわれができるのだから、他の欧州諸国もできるはずだ」と述べ、ロシアからのガス輸入を止めたことを明らかにした。4月1日から止めており、リトアニアは、ロシアのウクライナ侵攻以来、ロシアからのガス輸入を自ら停止した最初の国になった。

 

 (写真は、リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領)

 

 大統領発言を受け、エネルギー相のダニウス・クレイヴィス(Dainius Kreivys)氏は「われわれはすでに2009年にエネルギー独立戦略を立ち上げていた。今回、その最終ステージに至った。ロシアからは一分子のガスもわが国のガスシステムに入らなくなった」と指摘した。いずれの発言もツィッターで公開された。

 

 今後、同国で消費するガスは クライペダ港に設置されているクライペダLNG輸入ターミナルを活用してロシア以外の国や市場からの輸入ガスを活用するとしている。同国は2020年にはガス輸入の6割をロシアに依存していた。他国からの輸入に切り替えるメドが立ったことから今回、実施に移した。ラトビアとエストニアも同様に輸入をやめる方向で検討を進めているという。

 

ロシアからのガスパイプラインを遮断
ロシアからのガスパイプラインを遮断

 

 クレイヴィス氏は「リトアニアのロシアからのエネルギー独立は、われわれの歴史上のターニングポイントだ。他の欧州諸国もロシアのウクライナ侵攻に抗議したり、ロシアから『ガスを止めるぞ』といった脅迫に対処するには、ロシアからのエネルギー独立を果たすべきだ」と強調した。

 

 また万一、十分なガス輸入を確保できない場合に備えて、5月1日から、隣国のラトビア経由でガス供給を受ける体制も整備するとしている。ラトビアからのガスパイプラインはポーランドにつながっている。

 

 EUはロシアから天然ガスを年間約1550億㎥(2021年)輸入している。これはEUのガス輸入量全体の約45%、総消費量では40%近い。EU全体がロシアのガス供給に依存しているわけだ。ロシアはウクライナ侵攻を批判する「非友好国」に対しては、ガス等のエネルギー取引価格をルーブル建てにすることなどを要求している。

 

 EU各国はロシアのガス依存の削減・停止を目指しているが、現状の依存度が高いことから、一気に輸入先を転じることは不可能な状況だ。特に、今年後半からの次の冬季シーズンでの暖房用のエネルギー源確保が大きな課題となっている。欧州委員会と米国は、先月末、2030年までに米国からLNGを大幅に追加輸入することで合意したが、追加供給分は2022年が150億㎥、その後は2030年まで少なくとも年間500億㎥を供給するとしている。

 

 一方で、ロシアからのエネルギー輸入を断絶してしまうと、ロシアと西側諸国の対立がより鮮明になり、新たな「冷戦自体」に移行するとの懸念もある。

 

https://www.euronews.com/2022/04/03/lithuania-abandons-russian-gas-imports-urges-eu-to-do-the-same

https://www.aa.com.tr/en/economy/lithuania-completely-ends-russian-gas-imports/2553664