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オーストラリアで火災を起こした川崎重工業の水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」号に、内閣総理大臣賞。火災事故には触れず。オーストラリア運輸当局は「重大事故」として調査中(RIEF:続報)

2022-04-08 12:33:04

kawasakiキャプチャ

 

 川崎重工業は6日、同社が開発・建造した液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が、日刊工業新聞社主催の日本産業技術大賞で、最高位の内閣総理大臣賞を受賞した、と発表した。ただ、同船が水素を積み込んだ寄港先のオーストラリアで火災事故を引き起こし、現在、現地当局によって調査中であることについては一切触れていない。

 

 (写真は、表彰状を公開する川崎重工業の橋本康彦社長)

 

 同社の報道発表によると、「すいそ ふろんてぃあ」は、2021年12月24日に神戸港を出港、オーストラリアで製造した液化水素を積んで2022年2月25日に帰港している。「オーストラリアで製造した液化水素を神戸港まで輸送する実証試験を無事に成功させた」と説明している。だが、寄港先のオーストライア・ヘイスティング港で停泊中にデッキ上で火災を起こしていたことは公表していない。https://rief-jp.org/ct10/124063

 

 オーストラリアの運輸安全局(ATSB)によると、 火災は1月25日に同船のデッキ上のガス燃焼設備から発生し、すぐに自動的に消火された模様だが、ATSBは「重大事故(serious incident)」と認定し、調査中だ。火災が発生したユニットは、直後に閉鎖され、乗組員が消火活動を実施する前に鎮火したという。ATSBは「それ以外の異常はなく、乗組員の被害や損傷、船外への汚染等は起きていない」としている。

 

 ATSBでは、火災は甲板上に設置されているガス圧力コントロール装置が故障した原因を調べているとしている。調査は今年の第三四半期中には完了する見通し。火災発生した機器の調査のほか、担当者等への事情聴取も行っているとしている。

 

 さらに「調査で安全上の重大な問題が判明したら、直ちに運航事業者と規制当局に通知し、適切な措置を講じるよう要求する。調査結果を踏まえ、事故原因についての最終報告書を公表する」としている。

 

 「すいそ ふろんてぃあ」は日本産業技術大賞のほか、第19回ステンレス協会賞でも優秀賞を受賞している。川崎重工業は、これらの受賞については、プレスリリースで公表しているが、オーストラリアで起こした火災事故についてのプレスリリースはしていない。

https://www.khi.co.jp/news/detail/20220406_1.html

https://www.khi.co.jp/news/detail/20220401_2.html

https://www.atsb.gov.au/publications/safety-investigation-reports/?Mode=Marine