HOME10.電力・エネルギー |ENEOS、日本電気から電気自動車(EV)の充電サービス事業を譲り受け。スーパー等に展開する約4600基。自前の系列給油所での展開は、消防法等の法整備の遅れでうまく進まず(RIEF) |

ENEOS、日本電気から電気自動車(EV)の充電サービス事業を譲り受け。スーパー等に展開する約4600基。自前の系列給油所での展開は、消防法等の法整備の遅れでうまく進まず(RIEF)

2022-06-06 18:27:08

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 ENEOSは6日、日本電気が展開する電気自動車(EV)の充電サービス事業の譲渡を受け、同サービスを全国的に展開すると発表した。譲渡を受けた充電器はスーパーやショッピングモール等に設置している普通充電器を中心とした約4600基。ENEOSでは今後、2025年度にはEV急速充電器を1000基以上とし、30年度には数千基から最大1万基に拡大するほか、普通充電器の拡充も進める。今後、需要減が見込まれるガソリン販売等の給油所網と並列させる形でEV充電ネットワークを拡充するとしている。

 

 NECは現在、EV充電器を約6100基分、運営・管理するほか、課金等のシステム運用も展開している。両社は2021年に同事業分野で協業を発表していた。今回、ENEOSが譲渡を受けたのはNECの保有分の75%分に相当する。譲渡金額は明らかにされていない。

 

 ENEOSは、21年にEV事業推進部を立ち上げ、系列の給油所に充電網の設置を進めていた。既存の給油所ネットワークのインフラをEV用にも活用することで、EV関連サービスを展開、給油所インフラの充実も目指してきた。しかし、給油所へのEV充電器設置には消防法の規制がかかり、思い通りの展開が進められない状況にあったとされる。そこで今回、協業相手のNECが別途展開している充電網を新たなネットワークとして手に入れる判断をしたとみられる。

 

 NECの充電設備は、NECのIT技術を活用して、利用者の認証や課金などの充電関連サービスにおいて利便性がある。現在、普通充電(フル)に3時間、急速充電は30分で可能としている。主にスーパーやコンビニ、ショッピングモール等の商業施設に設置されている。今後、ENEOSは譲渡を受けたEV充電器の運営・管理業務を実施し、認証や課金等の充電器の運用管理システムについては、引き続きNECが担当する協業関係を維持するとしている。

 

 政府は、2050年のネットゼロに向けて、2035年までに新車販売に占める電動車比率を100%とする方針を打ち出している。そのため電動車用インフラとして2030年までにEV急速充電基を3万基、普通充電器を12万基設置する計画を描いている。しかし、今回、ENEOSが直面したように、給油所での消防法との調整等の法整備が十分ではないといった政策上の不備も起きている。

 

https://www.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20220606_01_01_2006437.pdf