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INPEXが新潟で国内初のCCSを使った「ブルー水素」製造の実証実験開始へ。約100億円投資し、年産700㌧の水素製造を目指す。2030年前後に本格実用化に移行(RIEF)

2022-11-15 22:06:54

INPEX0022キャプチャ

 

   INPEXは15日、新潟県柏崎市で天然ガスから水素をつくる「ブルー水素」の実証実験事業に取り組むと発表した。同社が有する同市東柏崎ガス田平井地区で天然ガスを使って水素を製造、製造した水素の一部はアンモニア製造に活用する。工程で発生するCO2は生産を終了したガス田の貯留層に圧入するCCS技術を導入する。それによりCO2排出実質ゼロの水素を年間700㌧製造する。事業は2022年度下期~2025年度末にかけて実施し、その後、検証を経て、2030年前後に本格的に実用化する予定だ。国内でブルー水素を製造し、CCSを本格活用するのは初めてになる。

 

 (写真は、CCS併設のブルー水素製造実証実験プラントの完成予想図)

 

 水素製造に活用する天然ガスは、INPEXが新潟県内に保有する南長岡ガス田のガスを調達する。水素製造設備を建設する東柏崎平井地区までは既存のパイプラインを利用して輸送する。実証実験では、枯渇したガス田にCO2を圧入することで炭化水素増進回収効果(EGR)の実験も行う。

 

 実証試験の事業費100億円で、そのうち半分は、水素・アンモニアの製造および CO2回収事業として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業から拠出される。CO2の地中貯留の実施と評価については、エネルギー・金属鉱物資源機構 ( JOGMEC)のCCS実証試験として実施する。

 

INPEX0011キャプチャ

 

 実験で製造する700㌧の水素のうち、600㌧分を水素発電に使い、一般家庭300世帯分に相当する1000kWの電力を電力会社に送電する。残りの水素100㌧から年間500㌧のブルーアンモニアを製造する計画だ。

 

 同社では、今回の実証実験を行う柏崎平井地区での事業とは別に、2030年までに新たに3件以上のブルー水素プロジェクトを事業化し、年間10万㌧規模の水素・アンモニアを製造することを計画している。CCS/CCUSでのCO2貯留量は同じく2030 年ごろに年間250万㌧以上の達成を目指している。今回の実証実験はそれらの目標達成の現実性を計る試金石となる。

 

 さらに同社は、今後、国内での事業のみでなく海外でも、今回の実証試験の経験を活用してブルー水素・アンモニア及び CCS/CCUS プ ロジェクトの展開を検討していくとしている。メディアの報道では、同社の池田隆彦副社長は「事業化にあたっては当初は5000~1万㌧の規模から始め、段階的にその10倍程度にまで拡大することを想定している」と述べているという。

https://www.inpex.co.jp/news/assets/pdf/20221115.pdf