HOME |東北電力と東京ガスの共同会社「シナジアパワー」、2年連続の債務超過で破産手続き開始。負債総額約182億円。ウクライナ危機や円安で発電燃料高騰が影響。電力談合との関係は(?)(RIEF) |

東北電力と東京ガスの共同会社「シナジアパワー」、2年連続の債務超過で破産手続き開始。負債総額約182億円。ウクライナ危機や円安で発電燃料高騰が影響。電力談合との関係は(?)(RIEF)

2022-12-05 15:44:08

tohoku0011キャプチャ

 東北電力と東京ガスが折半出資によるシナジアパワー(東京)が5日までに、東京地裁に破産手続きを申し立てたと発表した。負債総額は182億8102円(3月末時点)。ウクライナ危機や円安で発電燃料の石炭や液化天然ガス(LNG)の価格高騰等で電力調達コスト上昇の長期化が影響したとしている。ほぼ同時期に、公正取引委員会による大手電力会社の談合が摘発されたこととの関係は不明で、摘発の対象に首都圏の営業が含まれていないのも不思議だが、同圏内を基盤とするシナジアパワーの経営に、談合が何らかの影響を与えた可能性もある。

 同社は8月時点で、11月末で電力小売事業から撤退することを発表していた。同社は東北電力と東京ガスが連携し、東京電力が基盤とする首都圏の電力市場のうち、主に法人向けの高圧/特別高圧電力分野に集中して営業を展開することを目的に、2015年に両社の折半出資で共同設立された。

 社名の「シナジア」は、相乗効果を意味する「シナジー」に由来する造語。両社の融合と、電力とガスの両エネルギー分野で、「長年培ってきたノウハウや競争力のある電源などのお互いの強みを最大限に活用する」としてきた。いわば両社の対東電市場での戦略会社との位置づけだった。


 しかし、燃料価格や卸電力取引価格の高騰で事業環境が悪化し、2020、2021年度と2期連続で債務超過に陥った。さらに今年に入ってからはロシアによるウクライナ侵攻で先行き不透明感が増大していた。これまで、コスト低減を進めるほか、出資会社の両社からの支援、電気料金の見直しなどの経営改善策を講じてきたとする。2021年3月期の年売上高は約400億円あった。

 だが、一部の契約企業から、電気需給契約の債務不履行を理由として損害賠償の支払い請求や協議を求められるに至り、「収支改善、経営再建の見通しが立たず、事業継続は困難と判断した」として、破産手続きをとった、としている。

 公正取引委員会は、主要電力会社の中部電力、中国電力、九州電力、関西電力の各社が、営業区域等での事業者向け特別高圧電力および高圧電力の供給で、独占禁止法違反(不当な取引制限)を行っていたとして摘発し、総額1000億円強の課徴金納付命令を出したが、この「電力談合」には、もっとも大きな電力市場である首都圏市場が関わったのかどうかは、明らかにされていない。https://rief-jp.org/ct10/130526?ctid=72

 同社は、「事業終了後、依然として債務超過であり、取引債務を全額弁済する資力がないことに加え、事業終了に伴って顧客からの損害賠償要請を受けていることから、残余財産を法律に則って公平に分配するため、破産による会社清算を選択することが適切であると判断した」と説明している。同社の契約件数は8月時点で1200件超とされている。

 帝国データバンクによると、破産管財人は富永浩明弁護士。債権届け出期間は2023年2月1日までで、財産状況報告集会期日は同年5月29日午後2時。

https://www.synergiapower.co.jp/

https://www.synergiapower.co.jp/dcms_media/other/%E7%A0%B4%E7%94%A3%E6%89%8B%E7%B6%9A%E9%96%8B%E5%A7%8B%E3%81%AE%E7%94%B3%E7%AB%8B%E3%81%A6%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B%20.pdf

https://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4932.html