HOME10.電力・エネルギー |関西電力。京都・舞鶴発電所で、バイオマス燃料から火災発生。約10時間半後に鎮火。相次ぐバイオマス燃料の火災。燃料に不純物が混入か、可燃性の高い燃料の管理不備の可能性も(RIEF) |

関西電力。京都・舞鶴発電所で、バイオマス燃料から火災発生。約10時間半後に鎮火。相次ぐバイオマス燃料の火災。燃料に不純物が混入か、可燃性の高い燃料の管理不備の可能性も(RIEF)

2023-03-15 11:58:18

kandenn001キャプチャ

 

 関西電力は京都府舞鶴市の舞鶴発電所で14日夜、木質ペレットなどのバイオマス燃料を貯蔵する施設「バイオマスサイロ」の周辺で火災が発生した、と発表した。舞鶴市消防本部によると、火災は発生から約10時間半たった15日午後8時30分ごろに鎮火した。同発電所は石炭火力発電でバイオマス燃料は混焼用に活用していた。バイオマス発電からの火災事故は、今年元旦に大阪ガスの千葉・袖ケ浦バイオマス発電所で燃料サイトから火災が発生したほか、各地で相次いでいる。

 

 (写真は、火災を起こした関西電力舞鶴発電所の模様=FNNプライムオンラインより)

 

 NHKの報道によると、NHKが舞鶴市に設置したカメラには、発電所から突然爆発したような火の手が上がり、2回ほど赤い大きな炎が瞬間的に広がる様子が撮影されていた、としている。

 バイオマスサイトでは、バイオマス燃料の木質ペレットをベルトコンベアでボイラーに供給する作業が行われていたという。火災発生当時、同発電所にある2基の火力発電設備のうち、1号機は停止中で、2号機が稼働中だった。火災の影響で2号機も停止した。関西電力は、同発電所は停止したが、必要な電力の供給力は他の電源を稼働させること等で、確保できる見通しとしている。

 

 舞鶴発電所は、JR東舞鶴駅から北西約8kmの地点にある。発電能力は1、2号機合わせて計180万kW。原発2基分とされる。ただ、今回の事故の前にも2021年2月に、輸入石炭を運び込む石炭船からサイロへの石炭の運搬作業中に、石炭を周辺の海に落下させるという事故を起こしている。

 

 バイオマス燃料、同発電所等での火災事故は頻繁に起きている。今年元旦に発生した大阪ガスの千葉・袖ケ浦バイオマス発電所の燃料サイトからの火災は今も完全には消えていない。昨年9月には、JERAの常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)で輸入バイオマス燃料による火災事故が発生。2020年10月には、北九州市若松区のオリックスグループの「響灘エネルギーパーク合同会社」運営のバイオマス発電所でも火災が起きている。https://rief-jp.org/ct4/130119  https://rief-jp.org/ct4/107574

 

 バイオマス発電燃料となる木質ペレット等は、原料の樹木をペレット状にしたもので、燃えやすい特性がある。ただ、ベトナム等の輸入ペレットの中には、量をかさ増しするため、不純物を混入したうえで、認証を偽装した事例が発覚している。バイオマス発電は燃料となる樹木等が成長段階でCO2を吸収しているため、発電時に燃やしてCO2を排出しても、相殺されてカーボンニュートラルになるとみなされる。

 

 このため、大手電力会社等が海外から大量にバイオマス燃料を輸入して大規模なバイオマス発電所を港湾地区に設置する事例や、今回の関西電力のように、既存の石炭火力発電所で石炭とバイオス燃料を混焼させて、CO2排出量を削減する事例が広がっている。ベトナム産のバイオマス燃料の偽装問題では、輸入燃料に依存しきった日本型発電スタイルに、違法業者が付け込んだ形で、相次ぐ火災事故は、バイオマス燃料の特性を軽視した貯蔵体制が原因の一つになっているともいえる。https://rief-jp.org/ct10/129368?ctid=

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2023/pdf/20230315_1j.pdf

https://www.fnn.jp/articles/-/499778

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230315/2000071844.html