一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF

　INPEXは、ノルウェーの北海北部で参画している油田生産プロジェクトの生産操業に伴うCO2排出量を削減するため、近接する浮体式洋上風力発電事業からの電力供給を開始したと発表した。浮体式洋上風力で発電した再エネ電力を石油ガス生産施設に供給するのは世界初としている。2つの油田開発事業全体で年間約20万㌧のCO2削減が見込めるとしている。

　（写真は、油田生産に再エネ電力を供給するノルウェーのHywind Tampen浮体式洋上風力発電プロジェクト）

　INPEXが参画しているのは、北海北部のスノーレ油田生産プロジェクト。ノルウェーのベルゲン市の北西沖合約200kmで操業している。事業はEquinor Energy ASをオペレーターとし、Petro AS、Vår Energi ASA、Wintershall Dea Norge AS等のノルウェー企業等とともに、INPEXノルウェーの100%子会社のINPEX Idemitsu Norge AS（IIN）が9.6%の権益を有している。

　事業参加企業は、スノーレ油田と近傍のグルファックス油田生産プロジェクトとを合わせ、共同で浮体式洋上風力発電施設（Hywind Tampen）を建設し、両プロジェクトの生産操業に必要な電力の約35%の供給を受ける連携体制を構築した。同海域は水深約260～300mなので浮体式を採用した。同風力発電所は、11基の浮体式洋上風力発電設備（発電容量88MW）で構成し、浮体式では世界最大級の規模を誇る。発電量は東京都の2万7000世帯の年間消費電力をまかなえる。

　グルファックス油田生産プロジェクトへは先行する形で、2022年11月から電力を供給している。今回、スノーレ油田プロジェクトにも供給が開始された。ONPEXグループのIIN社は、北海北部・ノルウェー海北部・バレンツ海に多数の石油・天然ガス生産鉱区を保有し、生産操業活動と探鉱活動を推進している。スノーレ油田は、その中でも最大の生産規模を誇る。

https://www.inpex.co.jp/news/2023/20230519.html