東電福島原発事故の原告5団体。政府が次期エネルギー基本計画案で「原発依存度の可能な限り低減」から「原発の最大限活用」に切り替えることを「福島県民を愚弄」と県知事に抗議要請(各紙)
2024-12-29 00:30:52
(写真は、原告団代表が内堀福島県知事に政府への抗議申し入れ書を手渡す模様=テレビユー福島のニュース情報から引用)
各紙の報道によると、政府が、東京電力福島第一原発事故以来、エネルギー基本計画に盛り込んでいた「原発依存度を可能な限り低減する」との文言を、次期基本計画案では削除したうえで、「原発の『最大限活用』」を打ち出したことに対して、国と東京電力に対して損害賠償訴訟を継続している原告団など5団体は26日、福島県の内堀雅雄知事に対し、「福島県として異議を唱えるべきだ」と申し入れた。事故から13年余で「可能な限り低減」から「最大限活用」へと180°転換することには、事故で被害を受けた福島の人々以外からも「あまりに無節操な政府だ」との批判の声が上がっている。
県知事に申し入れたのは、東電原発事故をめぐって、国と東電を相手にして損害賠償を求める「生業(なりわい)訴訟」や「津島訴訟」を起こした原告団などが中心。すでに判決が確定し、解散した団体もあるが、そろって「福島を無視するエネ基計画」に対し、異議を申し立てた格好だ。
朝日新聞などによると、原告団らは県の担当者に対し、「(エネ基計画の)原案はあまりの無謀無考慮。苦しみ続ける県民を愚弄している」と批判した。申し入れを受けた県エネルギー課の担当者は、国策への論評を避けた上で「県は原発事故後、原子力に依存しない社会づくりを進めており、あのような過酷事故を二度と起こしてはならないと引き続き発信していく」と答えた。
原告団らの申し入れ内容は、原発事故から13年余りが経ち、原発の「最大限活用」に切り替わったエネ基計画の素案について、「苦しみ続ける福島県民を愚弄(ぐろう)する内容」と指摘し、「知事が県民を代表し(国に)意見・異議を届けるよう強く求める」とした。申し入れの背景としては、避難指示が出た地域では今も県民の居住が進んでいない実態や、農作業や漁業についても十分に回復していない現状を訴えた。
内堀知事は16日の記者会見で、エネ基計画の方針転換についての質問を受けて「原子力を含むエネルギー政策は国の責任で検討されるべきだ。福島県としては過酷な事故の現状と教訓を踏まえることなどを、今後も国に繰り返し述べていく」と述べている。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1642298?display=1&mwplay=1