JERA。22日の余剰電力を市場供出せず。昨年11月に「電力・ガス取引監視等委員会」の業務改善勧告から3カ月後に同様の不備発生。「システムエラー」と説明。業務改善できず(RIEF)
2025-02-23 21:59:55
(写真は、JERAのサイトから引用)
国内最大の火力発電事業者JERAは22日、市場支配力の強い電力会社に義務付けられている余剰電力の市場供出を、同日において果たさなかったことがわかった。同社は2019年4月から23年10月までの4年半にわたり余剰電力を一環して供出しなかったことで、昨年11月、電力・ガス取引監視等委員会から業務改善勧告を受けている。JERAは今回の供出不可の原因はシステムエラー、と説明しているが、改善勧告後3カ月で再び同じ違反をしたことになり、同社の業務体制が改善していないことを示す形だ。
JERAによると、同日の東京エリアでの日本卸売電力取引所(JEPX)のスポット市場(2月23日受け渡し分)において、同社の発電ユニットで発生した余剰電力の一部を供出できなかったとしている。
今回のJEPXへの拠出不可による余剰電力の一部未入札の原因について、同社は「入札の前提となる発電販売計画作成が、販売電力量の減少により通常より時間がかかり、その結果、JEPXに示す入札価格の小数点の桁数を正しく設定できなかったことによってシステムエラーが発生したため」と説明している。
発生したシステムエラーは、JEPXで他の市場参加電力会社が、入札するための締め切り時間までに復旧しなかったほか、余剰電力拠出に代わる代替手段による対応も取れなかったため、入札が間に合わなかったとしている。東京エリア以外の中部エリアでは入札には問題は起きていないという。その後、システムエラーは解消し、23日以降は通常通りの取引を実施する予定としている。
電気事業法では、JERAや大手電力会社の場合、電力取引の円滑化、効率化のため、各社の発電部門で発生した余剰電力は、JEPXのスポット市場に供出し、新電力などの市場参加者の入札に付すことを義務付けている。ところがJERAは2019年4月以降、4年半にわたって、東京エリアでの余剰電力供出量の算定に際し、一律にスポット市場への「供出不可」として入札量を設定し、市場へ未供出の状態を続けていた。
JERAの同措置に対しては、相場操縦の疑いもあるとして、監視委員会が調査を実施し、昨年11月12日に業務改善勧告を出している。それによると、JERAが余剰電力を想定通りに市場に供出していれば、2020年10月から23年10月までの約3年間だけでも、約54億kWhの売り入札が追加され、そのうち約6億5000万kWhの売り入札が約定していた可能性があるとし、 JERAがそうしなかったことで、この間の電力価格は高止まりを続けたことになる。予定通りの供出があれば市場価格は50円/kWh以上下がっていた可能性があるともしている。
同委は、こうした行動をとってきたJERAに対して業務改善勧告を出し、スポット市場入札での同社のプロセスの総点検や、システムやマニュアルの改修等を求めたほか、再発防止のため、卸電力取引に関する法令遵守やコンプライアンス管理の実効性確保の計画を実施することなどを求めた。
こうした同委の指摘と勧告に対して、JERAは社内調査の結果、「今回の問題の直接の原因は、入札量算定に用いるツールの設定不備によるもので、長期化したのは、当社の体制・ルール整備や教育・研修等に不備があったことに起因する」として、「利益を享受する目的で相場操縦を行う意図はなかったこと」を強調したうえで、再発防止策に取り組むと言明した。
JERAは今回の入札不可の要因についても、「システムエラー」を強調している。昨年11月時の「入札量算定に用いるツールの設定不備による」との言い分と重なる。入札作業に活用するツール、システムの道具立ての不備が原因だとして、システムを管理する人的責任には触れないようにするかのようだ。しかし、他の電力会社ではこのような不祥事を再度にわたって起こしてはいないことから、「JERAにはシステムやツールを『正常』に使いこなせる人材がいない」との言い訳にも聞こえる。

































Research Institute for Environmental Finance