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原発復権へ期待色濃く 東京都内で原産協年次大会(河北新報)

2013-04-28 09:46:42

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genpatsu20130427019jd電力会社や原発関連企業、原発立地自治体などでつくる日本原子力産業協会(東京)の年次大会が24、25の両日、東京都内であった。「原子力ゼロ?世界が突きつける日本の責務」の基調テーマが示す通り、福島第1原発事故への反省が目立った昨年に比べ、原発復権への期待感が色濃くにじむ「反転攻勢」の場となった。

(東京支社・若林雅人)

「わが国の経済は前政権の一貫しない原子力政策に翻弄(ほんろう)され、大きく停滞した」
あいさつで今井敬会長(新日鉄住金名誉会長)は脱原発に傾いた民主党政権への恨み節から切り出し、自民党政権に「適切な政治判断を」と早期の再稼働を求めた。
再稼働の条件となる新規制基準を7月に策定する原子力規制委員会には「過剰に高いハードルを設けることがないようにしてもらいたい」とくぎを刺した。
欧州委も後押し
国内原発の全稼働停止が目前に迫ったタイミングで開かれた昨年4月の前回大会後、原子力政策をめぐる環境は様変わりした。民主党政権は関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働を容認し、2030年代の原発ゼロを掲げた新エネルギー戦略も自民党政権が白紙に戻した。こうした中での今大会。会場には復権に向けた業界の高揚感が漂った。
海外29カ国・地域からも約100人が参加。「再生可能エネルギーと原子力の共存が欧州のエネルギー安全保障上、望ましい」(ピーター・ファロス欧州委員会エネルギー総局副総局長)など、福島第1原発事故を教訓にしつつ、エネルギーミックスの中核に原子力を位置付ける潮流が強調された。
福島の再生と復興に関しては「それなくして日本の原子力の将来はない」(今井会長)として、パネル討論で原子力業界の役割が話し合われた。
「英知の結集を」
討論には、福島第1原発が立地し、事故後は住民の集団避難が続く福島県大熊町の渡辺利綱町長も参加した。
住民の95%が住む地域が帰還困難区域に指定され、約4割の住民が「町に戻らない」意向を示している現状を踏まえ、「先が見えない避難生活は住民の大きな負担となり、町の機能全体をむしばんでいる」と指摘した。
町長は「(町が建設候補地の)除染廃棄物の中間貯蔵施設や第1原発の廃炉に関わる復興策が検討されているが、住民はイメージが悪いと言う。プラスになる支援策に英知を結集してほしい」とも訴えた。東京電力の新妻常正常務・福島本部副本部長は「各自治体の課題をしっかり受け止めたい」と述べた。
原発事故後2回目でも、国民的関心が高まっている使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物の処分問題は議題にならなかった。地に落ちた原子力政策への信頼回復に不可欠な課題は積み残されたままとなった。

 

http://www.kahoku.co.jp/news/2013/04/20130428t71010.htm