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原発事故コスト 国の原子力委は1キロワット時最大1円 NPOは最大79.6円と試算(FGW)

2011-10-25 15:37:03

福島原発の事故コスト試算は妥当か?
原子力発電所事故に伴う事故コストの算出で、官民の試算が大きく食い違っている。東京新聞によると、国の原子力委員会の「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の試算では、原発事故で上昇する発電コストは1kwh当たり、0・1~1円とすることで合意した。これに対して、FOEやWWF、Greenpeaceなどで構成する「エネルギーシナリオ市民評価パネル」の試算では、最も被害総額が低いケースで1kwhで1.6円、最悪ケースでは最大79.6円と大きく開きが出た。

 原子力小委は、東京電力福島第1原発のような過酷事故が500年に1回起きる場合は1kwh当たり1・2円、10万年に1回の場合は0・0046円と試算し、その中間の費用を採用した。福島事故を参考に、損害賠償などを試算し、総額は3兆8878億円とした。ただ除染で出た放射性廃棄物の貯蔵施設などは含んでいない。試算結果は参考値としている。

これに対して、エネルギーシナリオは、国の前提のケースとともに、日本経済研究センターが試算した被害額に除去費用を加えたケース、被害総額の平均的ケース、最悪のケースなどを比較検証している。

それによると、原子力委員会のデータに基づいたケースでは、1.6円/kwhで、この場合でも国の試算よりも6割多い。この試算の場合、除去費用や自主避難者への買収お費用、その他の社会的・環境的損害額を考慮していない。被害平均額ケースは、被害額を62兆円とした場合で、最悪ケースは被害額を279兆円として推計している。

 また最悪ケースのコスト計算は、設備利用率を70%で計算しているが、実際の利用率の低下を考慮(2008年60%)すると、92.9円/kwhと、さらにコストは上昇する。こうした計算は前提をどう置くかによって、結果は大きく左右される。ただ、賠償額の今後の広がりや、事故処理による廃炉費用、使用済み燃料の事故対応処理費用など、これまで実際に行ったことのない処理費用がかさむことは間違いなく、原子力委のコスト試算は恣意的といえるほど、コスト圧縮を図っているのではないかとの見方がある。

 

 東京新聞:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011102501000283.html

 エネルギーシナリオ市民評価パネル:http://www.facebook.com/enepane?
福島原発の事故コスト試算は妥当か?

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