HOME12.その他 |相模湾の深海で、プラごみ堆積。分解されず海底1000mにレジ袋も。黒潮で運ばれてくる?海洋研究開発機構の有人潜水調査船「しんかい6500」が発見(各紙) |

相模湾の深海で、プラごみ堆積。分解されず海底1000mにレジ袋も。黒潮で運ばれてくる?海洋研究開発機構の有人潜水調査船「しんかい6500」が発見(各紙)

2022-06-06 12:48:41

shinkai002キャプチャ

 

 各紙の報道によると、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の有人潜水調査船「しんかい6500」の調査で、相模湾の水深約750mの海底で、インスタントラーメンの袋やバケツなど、多数のプラスチックごみが堆積し、さらに水深約1000mの地点ではレジ袋等も確認した。深海に堆積したプラごみは分解されず、長期間にわたって環境を汚染するとみられる。同機構はプラごみの種類や分布状況等を調べ、生態系への影響や汚染状況を解明する。

 

 東京新聞が報じた。調査船は5月22日~6月10日にかけて、相模湾や伊豆諸島周辺等の海域での調査を実施中という。同海域で最大約5500mの水深まで潜って、海底に堆積しているプラごみの状況を調べる。今回、明らかになったのは伊豆諸島周辺の海底数か所での調査結果だ。

 

 「しんかい6500」が水深約750mの海底で、ライトを照らすと、赤や白のプラスチック袋が沈んでいることを確認した。プラごみの一部は、泥にまみれたり、ぼろぼろになっていたりしていたが、袋に明記された商品名や表示等は確認できたという。

 

「しんかい」の内部。JAMSTECのサイトから
「しんかい」の内部。JAMSTECのサイトから

 

 バケツはピンク色で、半分近くが海底の泥に埋まっていたが、バケツの形状は保っていたという。また周辺の岩場には複数のプラごみ類が、引っかかるようにして残留していたとしている。

 

 同機構の中嶋亮太グループリーダーは「プラスチックを大量に消費しているアジア地域から海洋に流入したゴミは、黒潮に乗って日本近海に集まっている可能性が高い。大量のプラゴミが最終的に海底に沈んでいるとみられる」と述べている。

 

海底に漂うプラごみ。2019年の調査時に確認された画像
海底に漂うプラごみ。2019年の調査時に確認された画像=JAMSTECのサイトから

 

 「しんかい6500」は2019年9月にも房総半島から約500km沖の水深6000m付近の海底に潜航し、プラスチックごみの集積地等を調査、ポリ袋や食品包装等の使い捨てプラスチックが大量に堆積しているのを見つけた。房総半島沖の大深度の海底で広がるプラごみの密度(平均4561 個 km-2)で、過去に比べて2ケタも高かったとしている。https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20210330/

 

 今回の調査船には、群馬大学と東京大学の研究グループも参加し、環境への賦課が小さい「生分解性プラスチック」の実証実験も実施する。生分解性プラは土中での自然分解は知られているが、海水中でも分解する新素材の開発を目指すとしている。同チームでは、廃プラの表面に付着した微生物を分析して、海中で分解されやすい材質の開発を目指すとしている。

 

 しんかい6500は、水深6500mまで潜ることができるJAMSTECの有人潜水調査船。1989年に完成した。全長9.7m、幅2.8m、高さ4.1m。乗員3人。潜航から約2時間半で水深6500mに達することができる。海底のプラごみの調査のほか、深海の生態系調査や地震の研究等に活用されている。

https://www.jamstec.go.jp/j/pr/tag/shinkai6500/

https://www.tokyo-np.co.jp/n/national?ref=gnb_pc_lv1