HOME12.その他 |ブラジル・アマゾン熱帯雨林、今年上半期に過去最大の面積消失。東京都の全域+7割増分が森林火災等で消え去る。ボルサナロ政権は開発優先策を改めず、むしろ強化へ(各紙) |

ブラジル・アマゾン熱帯雨林、今年上半期に過去最大の面積消失。東京都の全域+7割増分が森林火災等で消え去る。ボルサナロ政権は開発優先策を改めず、むしろ強化へ(各紙)

2022-07-04 17:34:03

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  世界最大の熱帯雨林帯であるブラジルのアマゾンの熱帯雨林の今年上半期の消失面積が3750㎢と、調査が開始されて以来、最大の面積となった。同国の国立宇宙研究所(INPE)が1日、衛星観測データ等で確認した調査結果を公表した。6月だけの森林火災による焼失面積も、過去15年間で最大となった。アマゾンでの森林火災は上半期全体で前年同期比17%増の7500件に上っている。環境NGOらは企業や農家等による森林開発の影響と非難している。

 

 (かさかさは、ブラジルのロンドニア州のアマゾン熱帯雨林地帯で行われている違法な焼き畑農法による火災の広がり=AFPより)

 

  INPEによると、これまでの上半期での熱帯雨林消失面積は、昨年の3605㎢が最大だったが、今年はこれを145㎢上回った。消失した3750㎡の広さは、東京都全域よりもさらに7割ほど広く、埼玉県一県とほぼ同規模の面積となる。INPEが2016年から実施している観測データでは最大。また今年のデータには6月の最終週の6日分は含まれていないので、さらに焼失面積は拡大することになる。

 

 熱帯雨林消失の最大の要因は、森林火災だ。上半期全体でみると、通常は火災の少ない1月、2月、さらに4月でもそれぞれ月別では過去最大の森林火災が発生したとしている。INPEの衛星観測によると、6月だけで前年比11%増の2500件の火災が確認された。これは6月単月の火災データとしては、2007年6月に3500件の火災が発生した年以来の多さだ。

 

 上半期全体での7500件超の火災件数は、2010年以来最悪の数字となっている。環境NGOのグリーンピース・ブラジルのCristiane Mazzetti氏によると「アマゾンでは乾季がほとんどなく、人為による環境破壊が急増していることを確認している」と指摘している。

 

 環境団体等は、ジャイル・ボルサナロ(Jair Bolsonaro)政権が大企業による森林開発等を奨励していることで、環境へのダメージが増大していることへの懸念を深めている。ブラジルWWFの Mariana Napolitano氏は「環境への配慮を無視した影響は、アマゾン熱帯雨林地域の自然レジリエンスの喪失を増やし、同地域のローカルコミュニティや住民の健康等へのダメージも無視して進められている」と批判している。

 

 環境団体等は、ボルサナロ政権が本来、保護すべき熱帯雨林帯を積極的に開発し、農業や鉱業等を奨励しているとし、さらに違法な森林伐採に関与している金採掘事業者や農業者、森林業者等に対しても、免責特権を付与しているとも批判している。政府による熱帯雨林の保護活動費用として配分されている予算も、昨年分は41%しか使っておらず、十分な監視の目が届いていないと指摘されている。

https://www.gov.br/inpe/pt-br

https://www.rfi.fr/en/international-news/20220701-brazil-sets-new-six-month-amazon-deforestation-record