HOME12.その他 |商船三井、ノルウェーの「海水淡水化船」事業を展開するEnviroNor社と協業の覚書締結。世界各地の水不足解消のため、中古船を改造して移動可能な「淡水化工場」を展開目指す(RIEF) |

商船三井、ノルウェーの「海水淡水化船」事業を展開するEnviroNor社と協業の覚書締結。世界各地の水不足解消のため、中古船を改造して移動可能な「淡水化工場」を展開目指す(RIEF)

2022-10-28 23:42:14

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  商船三井は28日、ノルウェーの船舶を活用した海水淡水化事業等を展開するEnviroNor AS(エンバイロノール)社と、海水淡水化専用船での協業検討に関する覚書を結んだと発表した。EnviroNor社が想定する海水淡水化専用船は、陸上に設置する淡水化プラントに比べると、土地の取得が必要なく、中古船を改造して建造できるため短納期で工費を節約して浄水を提供できるメリットがある。両社の協業により、水不足が顕在化している世界各地に新たな「ソリューション船」の事業展開を想定している。

 

 (写真は、EnviroNor社が想定する浮体式淡水化船。甲板上の淡水化装置で淡水化した水をパイプラインで陸上に供給する)

 

 EnviroNor社は2011年創業で、船舶を使って海水の淡水化事業を展開する浮体式淡水化船(FDV)の開発のほか、河川水をクリーンな飲料水に転換する「ウォーターファクトリー」、廃水をクリーン水に転換する浮体式廃水処理船(FWT)、さらには災害発生時に駆けつけて淡水化装置で飲料水を供給する緊急対応船(ERV)等の展開を想定している。

 

 気候変動の激化で、今年も世界各地で干害が発生、水不足が深刻度を増している。電力の場合は、太陽光や風力等の再生可能エネルギー発電で従来の化石燃料発電を代替していけるが、水の場合、現状の技術では海水淡水化技術の活用が欠かせない。しかし、同技術を使ったプラントの設置はコストや用地等の課題がある。EnviroNor社は、船舶に淡水化装置を搭載して、需要のあるところに自由に移動できる事業を想定しているのが特徴だ。

 

 今回の商船三井との協業の具体的な中身については公表されていないが、EnviroNorが開発している浮体式淡水化船(FDV)等を商船三井の船舶建造、保有、運航の経験を生かして実現することが想定される。EnviroNor社のFDVデザインでは甲板上にコンテナ型の淡水浄化装置を何台も積み上げることで、淡水化能力を高めることができる。

 

 同用途に活用できる船舶は、新規建造船でなくても、中古船でも十分に間に合う。石油、ガス、LNG産業等では中古船舶・タンカー等の活用は一般化しているが、それ以外の用途には、あまり活用されていない。まだ十分に活用できる船舶でも、再使用されずに早期に償却されるケースが少なくないという。両社は事業拡大に際して、中古船舶のFDVやFWT等への転用促進の拡大等を検討するとみられる。

 

 FWT船の場合、廃水の浄化と同時に、廃水から有機肥料やメタンガスを抽出することもできる。都市部の排水処理にFWTを仲介させることで、サーキュラーエコノミーの促進も展望できる。

https://www.mol.co.jp/pr/2022/22126.html

https://www.environor.com/about-us/

https://www.offshore-energy.biz/mol-environor-team-up-on-a-floating-desalination-vessel/