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人類滅亡まで残り90秒 。米科学誌の「終末時計」、ウクライナ危機で一気に針が「10秒」進み、第二次大戦後、最短更新。「新しい戦前」を象徴。気候変動対応にも影響(RIEF)

2023-01-25 23:55:33

doomsday001キャプチャ

 

 米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletin of the Atomic Scientists:原子力科学者会報)」は24日、ロシアのウクライナ侵攻と核戦争の脅威増大により、人類が滅亡するまでの残り時間を象徴的に示す「終末時計(Doomsday Clock)」の針を、これまでよりも「10秒」を進めて、過去最短の「残り90秒」に設定したと発表した。1947年の創設以来、最短で、第二次大戦後、最も危機的段階に陥っているとの判断だ。「新しい戦前」に向かっていることを示している。

 

 同誌は、核兵器をはじめとする大量破壊兵器や気候変動問題など、人間社会への脅威となる科学技術上の問題を扱う米国の非専門的学術雑誌。毎年、地球最後の日までの残り時間を概念的に示す「終末時計」を公表している。

 

 2023年の「終末時計」の針が「10秒」進んだのは、ロシアのウクライナ侵攻による影響と同侵攻によってロシアが核兵器使用の可能性を示唆する動きを展開している点が大きい。さらに、ウクライナ問題の影響で気候危機に対する対応が減退気味になり、新型コロナウイルス感染の継続等による生態系脅威や先端技術に関連する緩和リスクに対するグローバルな規範の崩壊等も要因にあげている。

 

 同誌の代表でCEOのRachel Bronson氏は「われわれは予測不可能な危険な時代に生きている。終末時計はこうした現実を映している。真夜中(滅亡の時)まで90秒というのは、過去最短の状況にある。われわれの評価専門家たちは事態を軽く見ていないということだ。米政府、NATO加盟国、そしてウクライナは危機を防ぐための多様な対話のチャネルを使うべきだ。われわれは各国リーダーたちに、終末時計の針を戻すために最大限の能力を使って努力をすることを要請する」と述べている。

 

 ロシアのウクライナ侵攻は核の脅威を高めているだけではなく、気候変動に対するグローバルな取り組みを減少させる影響も与えていると指摘している。ロシアの石油・ガスに依存してきた国々は、その輸入先を多様化させ、本来は温暖化対策としては縮小すべき新規のガス開発についても拡大している点を脅威としてとらえている。

https://thebulletin.org/2023/01/press-release-doomsday-clock-set-at-90-seconds-to-midnight/

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