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|東京・神宮外苑再開発。三井不動産が「伐採を124本減らす」等の見直し案公表。保全運動をする団体は「問われているのは(伐採の)数ではなく『樹木の保全の質』」と懸念表明(RIEF) |
東京・神宮外苑再開発。三井不動産が「伐採を124本減らす」等の見直し案公表。保全運動をする団体は「問われているのは(伐採の)数ではなく『樹木の保全の質』」と懸念表明(RIEF)
2024-09-09 17:00:32
(写真は、Change.orgに掲載された保全運動団体のRochelle Kopp氏のコメント欄から転載)
東京・神宮外苑再開発を主導する三井不動産は9日、事業に伴う同地での伐採本数を124本減らすなどの見直し案を公表した。西側イチョウ並木の保全では、イチョウと新野球場との距離を従来の約8mから約18.3mに広げる等としている。同案に対して、保全運動を展開している米コンサルタントのロッシェル・カップ氏は「軽微な変更による調整に過ぎず、高層ビルと大規模施設の建て替えありきの計画、そのために貴重な樹木や環境が犠牲になるという再開発の構図は何も変わっていない。問われているのは(伐採本数の)数ではなく『樹木の保全の質』」と指摘、見直し案では「外苑の緑」は守れないとするコメントを出した。
三井不動産らは、東京都から昨年9月に樹木の具体的な保全策を示すよう求められていた。今回の修正案を踏まえ、都の審議会や住民説明会を経て、伐採に着手する方針としている。神宮外苑の再開発計画は、老朽化した神宮球場や秩父宮ラグビー場を建て替え、伊藤忠商事等が高層ビルを新たに建てる等、外苑全体を大きく変貌させる計画だ。
当初計画では、樹木1904本のうち高さ3m以上の743本を伐採し、275本を移植、837本を新たに植樹することで、樹木数1998本としていた。正面のイチョウ並木は伐採の対象外としていたが、新たに立て替える野球場が隣接することから根の生育に懸念が出ていた。また西側の並木に及ぶ影響も懸念されていた。
このため、周辺の住民や内外の識者らから、再開発反対論が続出。パリの国際イコモス本部が「ヘリテージ・アラート」を発出したことから、昨年9月、東京都は事業者に対して、樹木の保全策の見直し案の作成を求め、工事は一時的に止まっている。
見直し案では、新たに設立するラグビー場などの整備を工夫することで既存樹木を66本を保存、16本を移植するほか、立ち枯れなどの42本を数字から除くことで、伐採本数は計619本に減るとしている。また西側イチョウ並木については生育環境への影響を抑えるため、イチョウと新球場との距離を従来の約8mから約18.3mに広げる。
メディアの報道では、今回の見直し案に対して、東京都の小池百合子知事は「(見直し案は)所管局の方に届いていると報告を受けている。これから中身を精査していくことになる。事業者の皆さんには都民の皆さんの理解、共感が得られるように説明していただきたい」と答えたとしている。