HOME |国連の生物多様性条約(CBD)第16回締約国会議(COP16)。「ローマの再開」会合で年2000億㌦を動員する資金ロードマップの採択で合意。「不在の『トランプの米国』」が重しに(RIEF) |

国連の生物多様性条約(CBD)第16回締約国会議(COP16)。「ローマの再開」会合で年2000億㌦を動員する資金ロードマップの採択で合意。「不在の『トランプの米国』」が重しに(RIEF)

2025-03-01 22:40:11

スクリーンショット 2025-03-01 224303

写真は、ローマの「再開COP16」の合意を告げる議長のスサナ・ムハマド氏)

 

    国連の生物多様性条約(CBD)第16回締約国会議(COP16)は、昨年10~11月にコロンビア・カリで開いたが、新たな生物多様性基金の設立で合意できず、途中で中断のような状態で終わっていた。そのため2月後半にイタリア・ローマで同会議を3日間の日程で再開。議論を重ねた結果、最終日27日の会議が28日未明になってようやく、2030年を期限とする資金ロードマップの採択にこぎ着け、正式に閉幕した。同ロードマップは年間2000億㌦を動員するとしている。ただ、どのような資金メカニズムでファイナンスを行うかは、今後の議論で詰めるとしている。昨年合意した「カリ基金」は再開会議で立ち上がった。

 

 異例の「中断COP」は各国代表団の「ローマの再会」で、何とか資金ロードマップ採択で合意し、正式に閉幕された。だが、同合意が実際に動き出せるかどうかは不明だ。同ロードマップでは2025年までに年間200億㌦、2030年までに300億㌦に増加する国際的な資金フローが含まれるとしている。https://rief-jp.org/ct12/150266?ctid=

 

 だが、ローマでのタイミングは昨年11月のカリ会議よりも悪いともいえる。トランプ米政権がUSAIDの対外支援の大幅削減等を打ち出し、脱炭素のグリーン気候基金(GCF)のファイナンスにも「穴」が開く展開になっている中で、生物多様性条約での「年2000億㌦のロードマップ」を各国がそろって歩めるかどうかは定かでないと言わざるを得ない。

 

スクリーンショット 2025-03-01 204423

 

 今回のローマ会合には、米国は参加しなかったが、会合では条約締約各国が「拠出者の基盤を拡大する機会」について、来年のCOP17までに議論することで合意した。アドボカシーグループ「Campaign for Nature」のディレクター、ブライアン・オドネル(Brian O’Donnell)氏は「他のどの問題よりも、世界生物多様性枠組みの成功は、世界が資金調達目標を達成できるかどうかにかかっている。生物多様性にとって最も重要な地域への資金提供を加速し、飛躍的に増やさなければ、生物多様性の損失を食い止め、逆転させるチャンスはない」と指摘している。

 

 資金ロードマップの合意には、途上国等が求めている条約の第21条および第39条に従った資金メカニズムの恒久的な仕組みを確立するとの約束のほか、既存の資金メカニズムの改善にも取り組むことも盛り込まれた。

 

 また「昆明・モントリオール世界生物多様性枠組(KMGBF)」の実施に必要な資金を動員するために活用できる、幅広い手段、メカニズム、制度を特定した「資金動員戦略」も採択した。これには、各国政府および地方政府からの公的資金、民間および慈善団体からの資金、多国間開発銀行、混合資金、その他の新しいアプローチが含まれるとしている。

 

  CBDの暫定資金メカニズムである地球環境ファシリティ―に資金提供プログラムは、2022年6月から2024年12月の間に民間部門からの19億㌦を含む220億㌦以上の協調融資を活用し、KMGBFへの支援として30億㌦以上の資金供与を承認している。 地球環境ファシリティーは、COP15の要請に応えて創設された地球生物多様性基金(GBFF)も運用している。

 

 今回のCOPで締約国は、KMGBFの進捗状況を測定するモニタリングの枠組みの強化でも合意した。同枠組みは、KMGBFの23のターゲットと4つの目標の進捗状況を測定するために締約国が使用する共通の基準を提供するもの。COP16では、締約国は指標の測定方法および使用方法について合意した。これにより、すべての締約国は共通して解釈可能な方法でのモニタリングの実施を保証され、世界レベルまで集約可能なデータの集計が担保される。

 

 今回のローマ再開会議中の2月26日に立ち上がったカリ基金(Cali Fund)は、遺伝資源のデジタル配列情報(DSI)の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を目的としたファンド。同ファンドは、DSIを商業利用する民間企業からの拠出金を受け入れる。CBDは「民間セクターからの資金調達を活用することで、このファンドは生物多様性資金調達の新時代を切り開く」と強調している。

 

 自然界の遺伝資源から得たデータを商業利用するさまざまな利益性の高い産業の企業は、今後、収益の一部または利益をこの基金に拠出することが期待されている。 基金への官民からの拠出金は、KMGBFをはじめCBDの実施にも充当される。また生物多様性の保護者としての各地の先住民および地域社会の役割を踏まえて、カリ基金の資金の少なくとも50%は、これらの先住民や同地域社会に配分されることになる。

 

 COP16議長のスサナ・ムハマド(Susana Muhamad、コロンビア環境相を退陣)氏は「ローマでのこの数日間の作業は、締約国がグローバル生物多様性枠組みの実施を推進する決意を示した。われわれはKMGBFに『足、腕、筋肉』を与えたことを公式に発表する。生物多様性に関する世界的な議題を継続的に強化する各国および条約事務局の意欲的な取り組みに感謝する。協力し合うことでのみ、われわれは自然との平和を実現できる」と述べた。

                         (藤井良広)

  
https://www.climatechangenews.com/2025/02/28/un-biodiversity-talks-finance-2030-roadmap-fund-nature/

https://www.cbd.int/article/cop16-resumed-session-closing-2025