カナダの森林火災、今年だけで、すでに東京都の面積の34倍分を焼失中。日本の半分相当の森林面積を焼失した2023年に次ぐ規模に。焼失地域も毎年の発生地域からカナダ全土に拡大(RIEF)
2025-08-23 00:37:28
(写真は、カナダ西部のノースウェスト準州のFortSmithで森林火災対策に取り組む消防機関を訪問したマーク・カーニー氏。㊧手前の後ろ姿=同氏のFacebookから引用)
日本各地では連日、高気温が続くが、欧米でも気温の上昇により、各地で森林火災が継続している。カナダでは今年だけで、すでに約750万haの森林が焼失した。これは東京都の面積の34倍分に相当する。カナダでは2023年に過去最悪の森林火災で、推計2000万haが焼失(日本の国土の半分)したが、今年はそれに次ぐ火災規模という。また今年の森林火災はこれまで毎年のように被害が発生してきた西部諸州以外の地域で火災が集中している特徴がある。グローバルな気候変動対策を主導してきたカナダ首相のマーク・カーニー(Mark Carney)氏も、気候変動による現実の気候災害の猛威に対して苦慮している格好だ。
英Guradian等が報じた。今年の夏のシーズンでは、これまでに、カナダでは、森林火災により数万人が自宅から避難を余儀なくされているという。森林火災は、5 月から 6 月にかけてピークを迎え、その後一旦収まったものの、夏場に入って、再び燃え上がっている。
西部州のサスカチュワン州とマニトバ州が最も被害が深刻で、今年、カナダで焼失した面積の60%以上を両州で占めている。しかし、今年の特徴として、東部の大西洋側のカナダ諸州でも火災が広がっている点だ。ニューファンドランド・ラブラドール州では制御不能な火災の鎮火に、州当局は苦闘している。

同州首相のジョン・ホーガン(John Hogan)氏は今週半ばに、州内森林地域でのオフロード車両の走行を一時禁止すると発表した。これは「制御不能な山火事が多数発生している状況下で、さらにリスクを負う余裕がない」との理由だ。
この禁止措置は、同じく大西洋に面するノバスコシア州で、すでにとられている同様の措置に続く。同州では、州都ハリファックス近郊で15haの制御不能な山火事が燃え広がっている。同州当局は、森林地帯での車両禁止に加え、ハイキング、キャンプ、フィッシングを禁止した。同州で発生する山火事のほぼすべてが、森林地帯でのレジャー等での人為的な原因によるものとみられることを受けての措置だ。
ノバスコシア州首相のティム・ヒューストン(Tim Houston)氏は「森林環境は非常に乾燥しており、雨の兆候もなく、ノバスコシア州のリスクは極めて高い。人命と財産を守るため、できる限りの対策を講じ、この山火事シーズンを乗り切り、雨を祈るばかりだ」としている。
森林火災は、カナダ中央部のオンタリオ州のカワルサ・レイクス地域でも発生している。同地は、トロントから北へ約100マイル(160km)離れた自然豊かな農村地域で、カナダ最大の都市の住民にとって人気の夏の行楽地だ。その豊かな自然の山林も燃えている。
カナダの森林火災は、春、夏、秋の季節に共通の現象とされてきた。過去1世紀の間、地理、気候、産業の組み合わせにより、最大で最も激しい森林火災の大半は、西部諸州に集中していた。ところが、今年は、草原地帯の州や大西洋沿岸地域に集中している。乾燥した天候の長期化が、森林火災の発生地域を拡大させているのだ。
大西洋沿岸地域や、中央部地域での火災の拡大・長期化は、国境を接する米国にも火災の煙が流れ込む問題を引き起こしている。米国のニューヨークやシカゴなどの都市にも2023年の森林火災時に「煙害」が及んで世界的なニュースになった。今年も同様に米国の各都市に被害が及んでいる。トランプ米政権と、カーニー政権は、気候問題を巡って、正反対の立場にあることから、米国各州の共和党議員らからは、「煙害」発生のカナダに対して森林火災対策の不備を指摘する声が出ている。
今年の森林火災による焼失はカナダ全土に及んでおり、その面積は約750万haに達している。これは2023年の過去最悪の焼失面積には及ばないが、過去10年平均を大幅に上回っている。ブリティッシュコロンビア大学野生火災共存センターの研究員、ジェン・バロン(Jen Baron)氏は「全国的な火災の脅威にもかかわらず、リスク軽減のための万能なアプローチは存在しない」と、対策の困難さを指摘している。
同氏は「ブリティッシュコロンビア州とアルバータ州が長年、森林火災の象徴的な存在だったが、現在は、他の地域でも同様の課題が表面化しつつある。これは気候変動の広範な影響を示している。過去には比較的火災リスクが低かった地域でも、現在進行中の長期的な干ばつにより、現在および将来にわたってその状況は変わっている」と気候変動の進展の影響に懸念を深めている。
カナダでの森林火災拡大による懸念は、大西洋の向こう側、南欧諸国でも、過去20 年間で最悪の森林火災が続いている状況と重なる。スペインでは、国内の森林地域20ヵ所で、大規模な森林火災が発生、消防士等が消火活動に追われている。森林火災により今年はすでに3人が死亡、11万5,000ha以上が焼失した。
首相のペドロ・サンチェス( Pedro Sánchez)氏は17日に、被害の大きい北西部のガリシア地方を訪問、火災から逃れた人々や、消火にあたっている消防士らを激励した後、「まだ困難な日々が続くでしょう。残念ながら、天候も味方になっていない」と、気候災害の猛威に、なすすべがない状況を認めた。
ポルトガルでは、同国の自然保護森林研究所の暫定計算によると、今年の山火事による焼失面積は2024年の17倍にあたる約 13万9,000haに達していると推計される。ヨーロッパでは、これら2国のほか、ギリシャ、ブルガリア、モンテネグロ、アルバニアなどの各国でも、記録的な高温、乾燥した天候、強風によって、森林火災が広がり、地元当局は消火の困難さに疲弊しきっている。気候変動による気候災害はすでに「制御不能」な形で現実化している。
(藤井良広)
https://www.theguardian.com/world/2025/aug/17/new-canada-wildfires-locations
https://www.facebook.com/photo?fbid=122181777086512671&set=pcb.122181777278512671

































Research Institute for Environmental Finance