HOME |グローバルな「環境危機時計」。今年は昨年より6分進んで、9時33分(12時が最悪)の「極めて不安」レベル。日本はさらに6分進む。トランプ米政権誕生が影響か。旭硝子財団が公表(RIEF) |

グローバルな「環境危機時計」。今年は昨年より6分進んで、9時33分(12時が最悪)の「極めて不安」レベル。日本はさらに6分進む。トランプ米政権誕生が影響か。旭硝子財団が公表(RIEF)

2025-09-14 02:39:10

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 旭硝子財団が毎年内外の地球環境分野の専門家を対象にした調査で示される「危機感」を表す2025年の「環境危機時計」を公表した。それによると、今年は世界全体で昨年より6分進んで9時33分になった。同調査では時計が12時に近づくほど危機感が激しくなる。9時台は「極めて不安」というレベル。直近の時計の針の進み具合を見ると、2021年から24年までは4年連続で針は戻り、不安は和らぐ方向に転じていた。それが今年は4年ぶりで不安が高まったことになる。また2分以上針が進んだのは、2017年以来8年ぶり。トランプ米政権の発足で、グローバルな気候政策に陰りが生じ、ESG、サステナビリティ等の分野でも見直しの動きが広がっていることが影響した可能性が高い。

 

 調査は、世界の専門家に対して、自分が住む国または地域における環境問題を考える上で重要な「地球環境の変化を示す項目」を3つ選んで順位付けをし、それぞれについての危機意識を時刻で表現してもらう手法だ。今年は4~6月に世界121カ国の専門家1751人から回答を得た。

 

 回答で最も多かった項目は「気候変動」だった。2011年以来一貫して「気候変動」が最多となっている。調査した地域別にみると、アジア、オセアニア、北米、南米、西欧、中東と多くの地域でいずれも昨年より針が進んだ。特に中東では34分、オセアニアでは23分、西欧では14分と大きく針が進んだ。危機意識が急増したといえる。

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 過去もっとも針が進んだのは、2018年と2020年の9時47分。今年の針から13分の差。このうち18年は前年から14分の上昇で最も危機が高まった年になっており、トランプ政権の反気候政策の影響が今年から来年にかけて、さらにグローバルに広がると、26年には時計の針が一気に触れる可能性もありそうだ。

 

 日本の気候変動に関する時刻は9 時39分となり、昨年に比べ針が2分進んだ。世界平均よりも6分、針が進んでいることになる。ただ、アジアの中では少し高めだが、欧米、オセアニアの10時台に比べると、50分近く針が遅れており、危機意識がまだ少ないことになる。

 

 一方、化石燃料エネルギーが豊富な中東は今年の針の進捗度では、一気に34分も進み、危機意識が急増した。これは昨年6月にサウジアラビアで気温が50℃を超え、1000人以上が熱中症等で死亡したことから気候変動への危機意識が高まったとみられる。ただ同地域の時刻は9時08分で、地域別ではもっとも時計の針が進んでいないアフリカに次いで遅いレベル。

 

 世界全体の環境危機時計の時刻を決定する際に選択肢とした「地球環境の変化を示す項目」のうち、もっとも多かったのが昨年と同様に「気候変動(29%)」、次いで「生物圏保全性(生物多様性)(13%)」、「社会、経済と環境、政策、施策(13%)」となっている。

 

 環境危機時計の針が進んでいる順では、「生物圏保全性(生物多様性)」(9時50分)が気候変動より早くなっている。次いで「気候変動」(9時39分)、「社会、経済と環境、政策、施策」(9時39分)の順で、いずれも世界平均(9時33分)より進んでいることになる。

 

 気候変動への関心が高いものの、脱炭素社会への転換については、「政策・法制度」や「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の面は、「一般の人々の意識」の面ほど進んでいないことも示された。野生生物の生息地の保全・再生について、進んでいると考える人は全ての面で少なく、脱炭素社会への転換に比べても遅れているとみられている。

                                                                                                                                (藤井良広)

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