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マイクロプラスチック・マイクロビーズ規制へ議員立法。与野党合意。事業者に製造・販売の自粛求める努力義務課す。洗顔料や歯磨き粉等で使用(各紙)

2018-06-06 01:17:02

prasticキャプチャ

 

 各紙の報道によると、洗顔料や歯磨き粉などに使われるマイクロプラスチックによる海洋汚染防止対策がようやく動き出す。超党派の国会議員が週内にも、海岸の漂着ゴミ対策を盛り込んだ「海岸漂着物処理推進法」にマイクロプラスチックの使用抑制を明記する改正案を国会へ提出する。基本は、製品として提供する民間企業に対して製造と販売の自粛を求めることになる。

 

 廃プラスチックによる海洋汚染が世界中で深刻化している。中でも、5mm以下のプラスチック粒子(マイクロプラスチック)を、プランクトンや魚が誤飲することで、食物連鎖に影響したり、有害物質が人体にも取り込まる可能性などが指摘されている。マイクロプラスチックはポリエチレンなどを原料とする小さな粒子で、洗顔料や歯磨き粉、ボディーソープなどに使われている。

 

 それよりもさらに微細な粒子はマイクロビーズと呼ばれる。超微細な粒子で皮膚の汚れなどを落とすスクラブなどに利用されている。また海洋に投棄されたペットポトルなどの廃プラスチックが分解・破砕されて微細化する二次マイクロプラスチックも問題視されている。

 

 マイクロプラスチック、マクロビーズは既存の排水処理施設では取り除くことができず、大部分がそのまま海へ流れ込んでいるとされる。世界経済フォーラムによれば、2050年には海洋中のプラスチック(主にマイクロプラスチック)の量が魚の量を超えると試算している。

 

 マイクロプラスチックは、海水を煮詰めて作る一般的な食塩にも残留していることが知られている。http://rief-jp.org/ct12/72592 世界の水道水の8割からもマイクロプラスチックが検出された、というデータも公表されている。http://rief-jp.org/ct12/72488

 

 こうしたことから、英国は今年1月から海洋汚染や生態系への影響が深刻化している微細なプラスチック粒子「マイクロビーズ」を含む製品の製造を同日付で禁止した。さらに、7月には同粒子を使用している製品の販売も禁止する。http://rief-jp.org/ct12/75822

 

 米国も同様に、マイクロビーズ禁止水質法(Microbeads-Free Waters Act)で2018年1月1日以降マイクロビーズの販売が禁止されている。スウェーデンとオランダでは、使用企業が段階的に使用を廃止する自主的な対応を進めている。カナダ、ニュージーランドなどの国々でも、廃止・規制に動いている。

 

 これに対して日本では2016年3月に、化粧品関連メーカーで構成する日本化粧品工業連合会が、会員企業1100社に自主規制を呼びかけ、主な大手メーカーは製品化を取りやめた。だが、まだ一部メーカーでは利用が続いているという。法的な規制ではなく自主規制にとどめているため、完全に抑制できないことが指摘されてきた。

 

 そこで「海岸漂着物処理推進法」を議員立法で改正し、プラスチック使用を抑制するよう、事業者に努力義務を課すこととした。早ければ今週か来週にも国会で可決成立し、今夏から施行される見込みだ。このため、今も利用を続けているメーカーは対応を迫られることになる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31394130V00C18A6CR8000/