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土地収奪問題の比バイオエタノール事業 「早急な問題解決を!」。伊藤忠に対応を求める文書提出

2012-02-29 17:37:08

水田やコーン畑から転換されたサトウキビ畑
水田やコーン畑から転換されたサトウキビ畑


フィリピンのバイオエタノール事業の実施に伴い起きている現地での問題を早急に解決するため、積極的な対応をとるよう求める文書を伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠商事)に提出しました。文書を提出したのは、国際環境NGO FoE Japan、開発と権利のための行動センター、“No! to Landgrab, Japan”の日本のNGO・市民団体です。

フィリピンで最大規模となる同バイオエタノール事業は、伊藤忠商事と日揮株式会社が出資し進められていますが、原料であるサトウキビの農地11,000ha(東京ドーム2,353個分)の確保をめぐり、これまでにも、農地収奪や土地利用転換、労働搾取等の問題が指摘されてきました。

こうした問題について、同企業はこれまでNGOに対し、「現地企業が対応する」と回答。しかし、日本企業のパートナーである現地企業は、地元住民から直接訴えを受け、こうした問題を把握しているにもかかわらず、真摯な対応を取っているとは言えず、問題は解決されないまま現在に至っています。

NGO3団体はこうした現状を踏まえ、今回、伊藤忠商事に提出した文書のなかで、以下のような問題を再度指摘しています。

 

1.サトウキビ栽培地の確保をめぐる土地収奪の助長と生計手段への影響、人権侵害

2.サトウキビ栽培地の確保をめぐる無秩序な土地利用転換
  (コメ・トウモロコシ等の食料生産地や森林地域からの転換のケース)

3.サトウキビの栽培に従事する農業労働者の労働条件・環境の問題
  (法定最低賃金の不遵守、賃金未払い、福利厚生の未提供等のケース)

4.バイオエタノール製造・発電所の建設に従事する労働者の労働条件・環境の問題
  (法定最低賃金の不遵守、福利厚生の未提供等のケース)
 

 
また、日本企業「自らが率先して現地の状況を把握し、問題解決のために適切に対処していくことが、企業の社会的責任(CSR)の取り方」だとし、同企業に対し、主に以下のような点を求めました。

 

・法的な擁護を受けにくい農民、先住民族、農業労働者、契約労働者などに対する特別な配慮と人権侵害を回避するための対処

・早期の問題把握に向けた実効的な苦情処理メカニズムの確立と地域社会の農民、先住民族、労働者、また、NGOとの直接対話

・法的には土地権に問題がないと見せかけている土地での契約を早急に破棄/回避するための実効的な施策

・契約労働者を含む労働者の人権を確実に尊重し、擁護できるよう、労働条件・環境を改善するための実効的な施策
 
バイオエタノール工場の建設工事はこの2月にほぼ終わり、5月には商業運転の開始が見込まれていますが、現地で起きている問題を早急に解決し、今後、同様の問題が拡大することを未然に回避するためにも、日本企業は、対応を現地企業にのみ任せるのではなく、同社のCSR方針、また、同社も賛同する国連グローバル・コンパクト10原則等の国際基準に則った、迅速かつ積極的な対応を求められています。

>提出文書の本文はこちら[PDF]
>同事業の詳細について
●本件に関するお問い合わせはこちらまで
国際環境NGO FoE Japan 担当:波多江
TEL: +63-929-560-9896(フィリピン)  Email: hatae@foejapan.org

 http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/20120229.html