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世界中の海鳥の体内に、プラスチックゴミ由来の有害物質。調査対象の4割の鳥の体内での蓄積判明。東京農工大と北海道大の研究グループが解明(各紙)

2018-10-16 00:15:14

プラスチックごみ起源の有害物質が蓄積していることが分かった日本近海のオオミズナギドリ(東京農工大の山下麗研究員提供)=共同

 

 各紙の報道によると、海洋でのプラスチックごみが原因とみられる有害物質汚染が日本近海を含む世界各地の海鳥に広がっていることがわかった。日本の研究チームが調査したもので、対象とした個体の約40%から有害物質が検出された。国際条約の規制対象で、生殖への悪影響などが指摘される臭素系難燃剤などが検出されたという。

 

 (写真は、プラスチックごみ起源の有害物質が蓄積していることが分かった日本近海のオオミズナギドリ:東京農工大の山下麗研究員提供=共同)

 

 共同通信が報道した。研究調査は東京農工大と北海道大のグループによる。同チームの高田秀重・東京農工大教授は「汚染は極域にまで及んでいる。ハワイのアホウドリなど有害物質全般の濃度が特に高い海鳥に影響が出ていないかを詳しく調べる必要がある」と話している。

 

 調べたのは、鳥の尾羽の付け根付近から分泌される「尾腺ワックス」と呼ばれる脂肪。2008~16年に新潟県・粟島のオオミズナギドリや小笠原諸島・聟島のクロアシアホウドリなど、世界15地域で37種150羽の海鳥から集めて分析した。調査場所には日本近海だけでなく、グリーンランド、ガラパゴス諸島、ハワイ、ベーリング海、オーストラリア近海なども含めた。

 

 その結果、日本の粟島など12地域の23種46羽から、燃えにくくするために加えられる臭素系難燃剤や、加工しやすくする可塑剤のフタル酸エステルなどの有害物質が検出された。いずれも海鳥がプラスチックごみ等を摂取して体内に取り込まれたと推定されている。ただ、聟島など3地域では未検出だった。

 

 他にもプラスチックごみ由来と疑われる紫外線吸収剤などの物質も確認された。これらを含めると調査対象とした海鳥全体の43%の体内に、飲み込んだプラスチックごみ由来の有害物質が蓄積しているとみられることがわかった。

 

 ハワイや、南極に近い南アフリカ領マリオン島のアホウドリの一種などの9種類の海鳥の場合、プラスチックごみ以外の汚染物質の濃度も高く、特にリスクが高いとされた。海鳥は魚などの海中の餌を取る際に、誤ってプラスチックごみを飲み込むことが多いとされる。

 

 消化できないプラスチックの影響で消化管を損傷したり、微細なマイクロプラスチックなどを体内に取り込んで蓄積し、それらに含まれている有害物質に汚染されている可能性もある。いずれも、人間活動が原因で、人類は地球上の多くの生態系を崩す元凶になっている。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35943340R01C18A0CR0000/