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東京、大阪の河川・港湾部でのマイクロプラスチック汚染、民間調査で判明。最大は大阪・大川の玉江橋付近から1㎡当たり約20個検出。東京・お台場でも。河川経由の海洋汚染の実態浮き上がる(RIEF)

2018-10-15 14:29:54

pirica1キャプチャ

 

  東京、大阪、米ニューヨークなどの都市部の河川や港湾を対象にして、マイクロプラスチックの存在量を調査したところ、38の調査地点の大半を占める37地点でマイクロプラスチックが検出された。最大は大阪市内の大川(旧淀川)の玉江橋付近で、1㎡当たり約19.8個だった。東京でもお台場の水の広場公園で同17.6個を検出した。対照地域のニューヨークでは最大1.29個で、日本の河川・港湾のプラスチック汚染度が浮き上がった。

 

 (写真は、河川の水面の浮遊物を採取する調査状況)

 

 調査を行ったのは、 民間の環境技術ベンチャーのピリカ(東京・渋谷)。日本財団の支援と、東京理科大の二瓶泰雄教授らの協力を得、さらにNOAA(アメリカ海洋大気庁)が公開している調査手順書に基づいて調べた。調査は2018年5月から行い、対象地域を関東では利根川水系や荒川水系、関西では淀川水系などの都市部の人口密集地の河川・港湾を中心とした。

 

 調査手法は、対象地域の水面付近の固形物を、同社が開発した専用のバッテリー駆動の採取装置(名称、アルバトロス5号機)で水を吸い込んで、ネットで漉し、残ったゴミなどを調べた。ネットの網目は0.3mmで、通常、マイクロプラスチックは大きさが5mm以下の微細ものと言われるので、大半のものは回収できる。

 

東京周辺の調査地点
東京周辺の調査地点

 

 その結果、38地点で採取した固形物1070個を分析、そのうち86.4%がマイクロプラスチックだったという。主な成分はポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)などだった。

 

 対象地域別にみると、もっとも多く検出された大阪・大川の玉江橋付近の数値が突出しており、次に多かったのは、神崎川の新三国橋で2.20個、大川・南天満公園で1.94個などだった。市内を流れる道頓堀川では大手橋付近での0.41個が最大だった。

 

大阪周辺の調査地点
大阪周辺の調査地点

 

 一方の東京周辺では、お台場の水の広場公園の17.60個に続いて、綾瀬川の西袋橋で9.10個、荒川の河口付近で4.48個、東京湾の千鳥運河の川崎市船客待合所前で3.71個などが見つかった。38地点のうち、唯一検出されなかったのは、鶴見川系の矢上川の矢上川橋だけだった。

 

 ニューヨークでは、East River 、Hudson River,Upper Bayの3ヶ所を調べた。East River のEast River Parkで1.29個を採取したのが最大で、他の2地点では1個以下の値だった。

 

 調査を実施したピリカでは、大阪の大川に続いて採取数が多かった東京・お台場の「水の広場公園」の場合、1回の調査で3,500個以上の固形物が採取されたので、それらを大きさごとにランダムに選択した約200個を分析する形とした。採取したすべてを分析していたら、検出値はさらに大きくなっていた可能性が高い、と指摘している。

 

 また大阪の大川・玉江橋での採取物の中には、人工芝の塊が検出された。不法投棄の可能性が強い。今後、関係省庁や自治体、研究機関、企業などとの連携を広げて、汚染源となったプラ製品が何かなども調べ、プラスチックごみによる海洋汚染問題の実態解明に取り組んでいくとしている。