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米イリノイ州、原発最大手エクセロンの原発閉鎖を救済する州法成立。5年間にわたり原発維持の補助金供給。原発閉鎖はひとまず先送り、だが原発の高コスト構造は変わらず(RIEF)

2021-09-24 21:46:10

Illinois001キャプチャ
   米国最大手の原子力発電事業者、エクセロン・ジェネレーション(Exelon Generation)社は、イリノイ州に保有する2カ所(計4基)の原子力発電所の閉鎖申請を原子力規制委員会に提出していたが、同州議会が超党派で、両原発の閉鎖を阻止する補助金法案を成立させた。これにより、両原発の閉鎖はひとまず先送りされた。だが、米市場での原発は経済性が低下し、補助金無しでは運営できない状況であることをクローズアップした形だ。
 (写真は、イリノイ州議会下院で法案成立後、喜び合う議長のEmanuel “Chris” Welch㊧(民主党)と、提案者のMarcus Evans㊨(共和党))
 焦点になっていたのは、エクセロンが運営するバイロン(Byron)原発(120万kW級PWR×2基)とドレスデン(Dresden)原発(91.2万kWのBWR×2基)。ドレスデンは今後10年、バイロンは同20年の操業期間を残しているが、同社はそれぞれを今年9月と11月に閉鎖すると表明。規制委に閉鎖申請を出した。https://rief-jp.org/ct10/117669
 しかし、両原発合わせてフルタイムの正規労働者と補助労働者を合わせて2万8000人を抱え、年間の州のGDPに対して38億㌦の貢献をしてきたとされる。したがって、原発閉鎖は地域経済に及ぼす影響が大きいとして、州議会では共和党上院議員が提案した今後5年間に7億㌦(約770億円)の補助金を付与する法案(State Bill 2048)を審議。上院で可決後、今月13日に下院で成立した。
閉鎖申請を撤回するエクセロンのドレスデン原発
閉鎖申請を撤回するエクセロンのドレスデン原発

 

 エクセロンの社長兼CEOのChristopher Crane氏は「法案の成立は、州知事、州議会、労働組合、その他、雇用の維持とクリーンエネルギーへの投資で気候危機を乗り越え、経済を再建するためのロードマップだ。われわれはこれらの原発を世界水準レベルでの稼働をすることによって、クリーンエコノミー経済を実現し、すべてのイリノイ州の人々に貢献したい」と評価した。
 法案は原発への補助金供給だけでなく、再生可能エネルギー発電事業の拡大、電化投資や労働者へのクリーンエネルギー分野での職業訓練等を包括的にカバーしている。また同州が2050年のネットゼロを達成するために、原発からカーボン緩和クレジットを創出するプロセスも盛り込んでいる。
 エクセロンは同州内で今回の2原発のほか、ブレイドウッド(Braidwood)、ラセール(LaSalle)の2原発も運営しており、合計6基を抱えている。合計の発電量は、同州の電力の60%を占め、再エネを含めたクリーンエネルギー発電の90%を占める。つまり同州は「原発大国」なのだ。だが、再エネコストの低下や石炭火力から天然ガス火力等へのシフト等で、発電コストが低下、原発発電は高コストになっていた。
 今回、成立した法律によって、各原発は今後5年間は補助金の供給を受け、コスト補填が可能となる。ただ、5年間の間に、原発の経済的高コスト体質が改善する期待は乏しい一方で、再エネ等のコスト低減は一段と進む構造が加速することはあっても、原発が優位に立つ可能性はほとんど考えられない。

https://www.exeloncorp.com/newsroom/press-releases