HOME13 原発 |東電福島原発事故賠償の電力各社負担金、2021年度納付分、合計293億円減額。経産省が各社の経常利益減額に配慮。国民負担は変えず。原子力資料情報室が指摘(各紙) |

東電福島原発事故賠償の電力各社負担金、2021年度納付分、合計293億円減額。経産省が各社の経常利益減額に配慮。国民負担は変えず。原子力資料情報室が指摘(各紙)

2022-07-05 11:41:26

Metiキャプチャ

 

 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故の賠償のため、東電以外の大手電力等が原子力損害賠償・廃炉等支援機構に毎年納める「一般負担金」の2021年度分の実質負担額が前年度より合計で293億円減額されていたことがわかった。NPO法人「原子力資料調査室」が調べた。一般負担金には各家庭などの電気料金に含まれる電線使用料「託送料金」が約600億円含まれるが、こちらは減額されていない。同法人は「国民に負担を強いながら、電力会社負担分を減額するのは不当」と指摘している。

 

 東京新聞が報じた。一般負担金は、東電の賠償金支払いを支援するため、原発保有の9電力会社と日本原子力発電、日本原燃が共同負担し、毎年度、機構に納付している。2013~19年度は毎年1630億円ずつ払ってきた。しかし、福島事故の賠償費用が当初の想定より増えることが判明し、政府は、2020年度からは原発を持たない新電力の利用者にも負担を求める政策に変更した。

 

 この結果、毎月の電気料金に含まれる託送料金から毎年約600億円を回収して、一般負担金に上乗せする仕組みになっている。20年度下半期から導入され、同年度は全体の半分の約300億円、21年度は満額の約600億円分、納付額が増えるはずだった。ところが、立憲民主党の山崎誠衆院議員が質問主意書で21年度分について、経産省に問い合わせたところ、大手電力会社等の実質負担分が前年度の合計1630億円から1337億円に減額されていたことがわかったという。

 

 同紙によると、この背景には電力会社の厳しい経営状況があると指摘している。2016年の電力小売り全面自由化に伴う競争激化に加え、燃料費高騰によって電力各社は昨年度は軒並み経常利益が減少している。

 

 一般負担金の額は、年度ごとに機構が経産省に申請して決まる。つまり同省が電力会社負担減額を決めたことになる。同紙の取材に対して、経産省の担当者は減額を認めたうえで「昨年度、一部の電力会社は赤字に陥るなどの厳しい経営状況となったことを勘案した。減額しなければ電力の安定供給にも影響を与える」と説明しているとしている。

 

 原発のコストに詳しい大島堅一竜谷大教授は「一般負担金の支払いが苦しいと言うなら、それも含めて原発にかかるコストだ。他業種の経営も厳しいのに、原発事業者だけが守られるのはおかしい。国や機構は減額の理由を公にするべきだ」と指摘している。

https://www.tokyo-np.co.jp/n/economics?ref=gnb_pc_lv1

https://cnic.jp/category/cat010/cat011