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ドイツ、原発稼働を全3基に拡大。「脱原発」政策の一時棚上げ。来年4月半ばまでの方針。連立政権内ではさらなる延長論と、一時稼働後の廃止を求める意見が対立状態(RIEF)

2022-10-18 15:20:31

Germanynukeキャプチャ

 

  ドイツのシュルツ首相は、現在、国内で稼働中の全3基の原発を2023年4月半ばまで稼働を続ける方針を決めた。ドイツは脱原発政策により、年内ですべての原発の稼働を停止する予定だった。だが、ロシアのウクライナイ侵攻でロシアからの天然ガス等のエネルギー供給が急減したことから、原発3基のうち2基の一時延長を決めていたが、今回、冬場のエネルギー確保のため、もう1基の稼働も延長するとした。ただ、連立政権内では、来年4月までの稼働に留めることを主張するグリーン党と、2024年までの延長を求める自由民主党の意見対立が続いているとされる。

 

 3基全部の稼働延長については17日、独メディアが伝えた。ドイツは9月初め、国内で稼働中の3基のうち2基を2023年4月半ばまで稼働させるとしていた。南部にある「イザール2(Isar 2 )」と「ネッカーベストハイム2(Neckarwestheim 2)」の2基だ。西部にある「エムスラント」は予定通り年内に稼働を終えるとしていたが、今回、シュルツ首相は同原発も延長するとした。首相は稼働延長のための法整備に向け、グリーン党のハベック経済・気候相、自由民主党(FDP)のクリスチャン・リンドナー財務相らに書簡を送った。https://rief-jp.org/new/128113?ctid=76

 

 ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」は、同Ⅱが稼働直前に停止し、同Ⅰも機器の故障に加えて、原因不明の損傷事故で操業できない状態に陥っている。このため、冬場のエネルギー確保策として、国内の石炭火力発電の稼働増などの緊急措置を打ち出しているが、エネルギー需要に対応するため、残りの原発も稼働させることにする。

 

 ただ、連立政権を構成する社会民主党(SPD)、グリーン党、自由民主党の3党の足並みは微妙に異なる。脱原発を基本政策と指定支持するグリーン党は3基全部の稼働に際しても、期限は来年4月半ばまでとし、その後、全基廃止に踏み切る立場だ。一方、産業界の支持を受ける自由民主党はさらに24年までの延長を求め、その後も脱原発政策の事実上の棚上げを目指している。

 

 焦点になるのが、来年4月半ば以降も稼働する場合は、新たに 燃料棒を入れる必要が生じる点だ。自由民主党は新規の燃料投入を主張し、グリーン党は反対している。今回のシュルツ首相の判断では、この点については明確にしておらず、来年4月時点での判断になりそうだ。

 

 首相は、グリーン党の反発を回避するため、各党に送付した書簡の中で、エネルギー効率化を高めるための野心的な法制化の実現と、昨年11月に連立政権として公表した2038年の脱石炭火力の目標を2030年に前倒しすることを確約した。特に、石炭火力発電所を多数抱えるドイツ最大州のノルトライン・ヴェストファーレン州の名をあげて、2030年石炭火力全廃策の堅持を強調した。

 

  ドイツ国内では、原発稼働に前向きな世論が台頭している。DPA通信が10月に公表した世論調査では、24年以降の原発稼働に前向きな回答が全体の56%を占めた。「原発を無期限で稼働すべき」との、脱原発政策の撤回を求める回答も19%。原発の安全性よりも、エネルギー確保を優先する声が広がっているわけだ。石油やガスのように輸入に頼るエネルギーから、自立型のエネルギー確保の一つとして原発を位置付ける論法で、東京電力福島第一原発事故が起きた日本政府が主張する意見とも符合する。

https://www.euractiv.com/section/energy/news/german-nuclear-scuffle-scholz-cracks-down-insists-on-keeping-all-plants/