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関西電力、美浜1,2号機の年度内廃炉検討 政府は廃炉費用の電力料金上乗せで支援の方針(各紙)

2014-09-05 11:33:58

美浜原発
美浜原発
美浜原発


各紙の報道によると、関西電力は福井県にある美浜原子力発電所1、2号機を廃炉にする検討に入ったという。近く、福井県や立地する美浜町とも廃炉に向けた具体的な協議に入るとしている。

関電の美浜1号機は1970年、2号機は72年に運転を開始しており、ともに原発の新規制基準による運転期間の原則40年を超えている。同基準では、個別審査を経て、最長20年の運転延長ができることになっているが、その場合は定期的に特別点検の厳しいチェックが要る。

 

報道によると、同特別点検や稼働延長に伴う安全対策の強化などで、数千億円規模の追加費用も必要という。また1号機の出力は34万kW、2号機は50万kWと比較的小さいため、稼働延長しても電力販売による収益の押し上げ効果は限られる。

 

関電はこうした1,2号機の「経済性」を考慮して廃炉の検討を始めたとみられる。経済合理性に合わない原発は、存続維持できないというのは全うな経営判断である。関電が今年度中に1,2号機の廃炉を決めると、2015年3月期に最大で300億円前後の特別損失を計上することになりそうという。

 

政府は関電以外の電力各社に対して、老朽原発の整理計画を年内に決めるよう求めている。その一方で、経産省は廃炉に伴う電力各社の財務悪化を防ぐ支援策として、保有設備の除却損の約7割まで電気料金に上乗せできる制度をさらに引き上げ、廃炉費用を消費者に丸ごと転嫁する考えという。

 

この経産省の政策は、先に中日新聞社説が指摘した「原発えこひいき」そのもので、結果的に経営責任と、株主責任を棚上げすることになる。一方で、費用を電力料金に追加上乗せすることで、消費者の電力消費を抑制させ、景気の足も引っ張りかねない。経済合理性に反する政策と言わざるを得ない。

 

関電は14年3月期まで3期連続の最終赤字を計上している。廃炉費用の負担増で財務がさらに傷むため、昨春以来の電気料金の再引き上げも視野に入れているという。

 

http://financegreenwatch.org/jp/?p=46547

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF0400R_U4A900C1MM8000/?n_cid=kobetsu