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福島原発事故直後の海水注入中止の「官邸指示」は、東電幹部の独断だった(FGW)

2014-09-08 13:09:49

武藤一郎元東電フェロー
武藤一郎元東電フェロー
武藤一郎元東電フェロー


東京電力福島第一原発の事故直後に、原子炉を冷却するために海水を注入する作業が、官邸からの「中止指示」でいったん停止した経緯があったが、この指示は東電幹部の武藤一郎フェローによる独断だったことがわかった。

 

菅直人元首相が自身のブログで明らかにした。それによると、菅氏は、吉田調書をめぐる報道が表面化していることから、自ら武藤フェローに対する国会事故調査委員会の証券を議事録で精査するとともに、ユーチューブの動画も検索したという。この中で「武藤氏は、自らの判断で吉田所長に海水を止めるように行ったと明確に述べている」という。

 

菅氏によれば、官邸では菅氏を含めて全員が海水注入の必要で意見が一致していた。武藤氏は海水注入の準備に午後8時(3月12日)までかかると理解し、いったん午後6時~6時20分の間に菅氏らに説明をした後、注入準備ができるのに間に合う時間内に、もう一度、追加的な説明の準備をしていたようだという。

 

その時に、彼が福島に電話したところ、すでに海水注入が始まっていることを知り、自らの判断で中止を指示したと、国会事故調査委員会に述べているという。注入の準備段階と首相に説明しながら、すでに注入していることを知り、中止させたとみられるが、菅氏は「そのこと(注入がすでに始まっていること)を、私を含め必要な人に伝えれば、元々全員が海水注入は必要という意見で一致していのだから、当然海水注入は継続されていたはず」としている。

 

武藤フェローが、首相に説明をしてから海水注入指示、という「段取り」を重視して、緊急事態に直面している現場の判断を差し止めたということになる。東電幹部の「官僚主義」的対応が、現場を混乱させ、場合によると、原子炉爆発のリスクを高めたともいえる。

 

海水注入の経緯が、菅氏が指摘するように、武藤フェローの官僚主義的独断が原因だったのかどうか。武藤氏自身の説明とともに、事故原因の真の究明のために、検察・警察による東電原発事故捜査が求められよう。

 

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