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旧ソ連・チェルノブイリ原発の「石棺」密閉作業 費用不足で2年遅延へ(各紙) 新たな放射能漏れのリスクは!?

2014-10-25 00:51:57

ウクライナ北部チェルノブイリ原発で、事故を起こした4号機の石棺を覆うために建設中の巨大なシェルター=2013年4月(共同)
ウクライナ北部チェルノブイリ原発で、事故を起こした4号機の石棺を覆うために建設中の巨大なシェルター=2013年4月(共同)
ウクライナ北部チェルノブイリ原発で、事故を起こした4号機の石棺を覆うために建設中の巨大なシェルター=2013年4月(共同)


各紙の報道によると、ウクライナ北部のチェルノブイリ原発を新たに巨大な鋼鉄製のシェルターで覆う国際工事が資金不足に直面している。当初の工事完了の予定は来年10月だが、2年遅れの2017年11月になりそうという。

 

ただ、工事の遅れは、すでにコンクリートの老朽化によって、同原発をカバーする「石棺」のリスクを高めそうだ。すでに石棺には、あちこちに亀裂が入っているとされる。チェルノブイリ原発の原子炉は、東電福島事故と同様に、今も全く手を付けられない状態が続いている。そのため、国際協力の形で、新たなシェルターで石棺ごとすっぽりと覆い、放射性物質の飛散等を取り除いたうえで、原子炉の処理に取り掛かる方針で、これまでやってきた。

 

現在、建設が進められている石棺をすっぽり覆うアーチ性のシェルターは、高さ108m、長さ162m、幅257mという巨大な構造物。工事費は西側のG7諸国が中心だが、欧州復興開発銀行(EBRD)等からも資金供給されている。ところが工事機材の値上がり、追加的な対応等によって実際の工事完了のために必要な資金額とのギャップは6億1500万ユーロと拡大、各国の財政事情から、容易に追加拠出等が認められるかは、不確実なままになっている。

 

資金面の手当てがつかないと、国際協調による原子炉廃炉の行方が怪しくなってくるだけではない。「石棺」はコンクリート製で老朽化が進んでおり、耐用期限30年は2016年には切れる。このため、部分的な崩落などにより放射性物質が再び、拡散する危険度が徐々に増しているといえそうだ。

 

http://www.bmub.bund.de/en/press/press-releases/detailansicht-en/artikel/tschernobyl-schutzhuelle-fertigstellung-noch-nicht-gesichert/?tx_ttnews%5BbackPid%5D=3545