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原発事故が北関東のオオタカ繁殖に打撃。名古屋市立大等調査、空間線量の増大が影響。内部被爆の影響継続中(FGW)

2015-03-31 19:14:33

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ootakaimages名古屋市立大学とNPO法人オオタカ保護基金は、2011年3月の東京電力福島第一原発事故が、北関東で繁殖するオオタカの生態系に大きな影響を及ぼしたことを確認した。特に繁殖成功率が下がるなどの異変が起きているという。

 

調査を担当したのは名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科の村瀬香准教授と、オオタカ保護基金(代表遠藤孝一氏)。国際科学雑誌Scientific Reportsに論文を掲載した。それによると、オオタカ繁殖の過程を4段階に分けて観察、空間線量の増加が特にふ化率と巣立ち率に悪影響を与えている可能性があるとしている。

 

空間線量悪化による外部被ばくに加えて、オオタカが放射能汚染された小動物を食餌とすることで生じる内部被ばくも長く繁殖率低下に関与している可能性があるという。原発事故は野生動物も影響が大きく、その影響はまだ、続いているといえる。

 

研究は1992年~2010年の19年間毎年、福島第一原発から100~130km西南西に離れた北関東の野外の繁殖サイト約40カ所でオオタカのペアを対象に行った。オオタカの繁殖を、巣づくり、抱卵、ふ化、巣立ちの4段階に分け、各段階での平均繁殖成功率を、72%(巣づくり)、89%(抱卵)、88%(ふ化)、88%(巣立ち)、全体の繁殖成功率を78%と推定した。

 

2011年3月の原発事故以降、オオタカの繁殖に関する4段階の成功率はどの段階でも低下していた巣づくり率は11年に49%と大きく落ち込んだあと、徐々に回復傾向が見られたが、震災前より低下したまま。一方、抱卵率とふ化率、巣立ち率は、11年に例年の範囲内だったのが、12年、13年にかけて下がっていた。

 

研究チームは、繁殖段階によって生じる影響の差は、空間線量の上昇が影響したとみている。空間線量増加の影響は対象となったオオタカの全繁殖サイトで50%以上の寄与率があったとしている。そして0.1uSv/hの空間線量の上昇は、最大で 10%の繁殖成功率の低下に寄与していると試算した。

 

時間の経過とともに空間線量は次第に下がったはずで、繁殖成功率もそれに伴って、東日本大震災前の水準に戻ると予想されたが、実際はそうならなかった。これは、オオタカが森林生態系の頂点に立つ捕食者であり、原発事故による食物連鎖の影響がまだ出尽くしていないことを示している可能性があるという。

 

村瀬香准教授らは「野生動物の研究では、野外で生き残って淘汰がかかった後の集団を対象にせざるを得ない場合が多く、原発事故の影響を過小推定する恐れがある」とも指摘している。

 















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図.福島第一原発と、調査した北関東のオオタカ繁殖地との位置関係
北関東でのオオタカの繁殖段階の成功率(左)で、赤点線が2011年、緑点線が12年、青点線が13年、aは巣づくり率、bが抱卵率、cがふ化率、dが巣立ち率、eが繁殖成功率。右はそれぞれの繁殖段階に対応する空間線量の影響の大きさ。
グラフ. 北関東でのオオタカの繁殖段階の成功率(左)で、赤点線が2011年、緑点線が12年、青点線が13年、aは巣づくり率、bが抱卵率、cがふ化率、dが巣立ち率、eが繁殖成功率。右はそれぞれの繁殖段階に対応する空間線量の影響の大きさ。http://www.nagoya-cu.ac.jp/secure/149568/270324.pdf

 
(いずれも提供:名古屋市立大学)