一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF

　環境NGOの気候ネットワーク（KIKO）の理事・国際ディレクターとして、気候変動に関する国際交渉や国内外の気候変動・エネルギー政策の研究や分析、提言、情報発信等で活躍している平田仁子（きみこ）さんが、環境保護に功績のある活動家らを評価する国際賞「ゴールドマン環境賞」を受賞した。日本人の受賞は23年ぶりの3人目、日本人女性は初めて。平田さんの所属するKIKOは環境金融研究機構（RIEF）が主催する2020年のサステナブルファイナンス大賞でNGO/NPO賞を受賞している。

　「ゴールドマン環境省」は、1989年に米サンフランシスコの市民運動家で慈善家であるリチャード・ゴールドマン氏と妻のローダ・ゴールドマン氏によって設立された。環境保護に貢献のあった人々を、世界的な環境保護団体や個人のネットワークから寄せられた機密の推薦状をもとに、国際的な審査員によって毎年6人を大陸ごとに選んでいる。

　日本は「島嶼国」の範疇で、これまで熱帯林保護や木材貿易問題に取り組んだ黒田洋一氏（1991年）、諫早湾干拓問題に取り組んだ山下弘文氏（1998年）が選ばれている。今回の平田さん以外の受賞者は、アフリカのマラウィでプラスチック廃棄物対策で使い捨てプラスチックの使用禁止の草の根運動を展開したグロリア・マジガ・カモトさん、ベトナムで「野生のセンザンコウ等の密漁摘発を続けたタイ・ヴァン・グエンさんら。

　平田さんの受賞理由は、日本国内での石炭火力発電反対活動の展開の評価だ。福島第一原発事故後に日本政府と企業が精力的に石炭火力発電の建設を推し進めたが、平田さんは気候変動の観点から、国内の13基の石炭火力（7GW）の計画を中止に追い込んだ。これらの石炭火力が建設されていれば16億㌧以上のCO2排出につながっていたはず、と指摘している。

　平田さんが所属するKIKOは昨年3月、みずほフィナンシャルグループに対して、パリ協定と整合的な経営戦略の開示を求める株主提案を行った。日本で気候変動問題での株主提案は初めて。提案は否決されたが、34.5％の支持を内外の投資家から得た。NGOの新たな活動として、環境金融研究機構（RIEF）のサステナブルファイナンス大賞のNPO/NGO賞に選定された。http://rief-jp.org/ct7/110824

　平田さんは、「ここ数年、猛烈な勢いで石炭火力建設が押し進められてきたことに歯止めをかけようと取り組んできた。気候ネットワークのスタッフ、地域団体や住民、国内外の法律家や専門家、NGOなどの力が合わさって大きくなってきた。本賞は、一緒に粘り強く取り組んできたみんなに与えられた賞に他ならない」「しかし、脱石炭、脱炭素化の実現には、もっと大きな動きを作っていかなければならず、むしろこれからが重要。この賞が、多くの人のさらなる行動につながる契機になってほしい」とコメントしている。

　平田さんは、出版社勤務後、1996年に米環境NGO「Climate Institute」に所属。1998年、日本で設立された気候ネットワークに参加し、気候変動に関する国内外での活動を展開してきた。また国際的な環境NGOのネットワークであるCAN-Japan代表も兼務している。千葉商科大学サイエンスアカデミー特別客員准教授でもある。

　ゴールドマン環境省の受賞式は、毎年、4月にサンフランシスコ・オペラハウスで授賞式が開催される。今年は新型コロナウイルス感染症拡大により、日本時間6月16日午前8時（米国太平洋夏時間 6月15日午後4時）からオンラインイベントの形式で授賞式となる。授賞式では、女優のジェーン・フォンダやシガニー・ウィーバーらがプレゼンターを務める。音楽ゲストとしてレニー・クラヴィッツ、バーバ・マール、ヌドロフ・ユース・クワイア等が登場する予定。参加希望者は、rsvp.goldmanprize.org/2021より事前登録可能。

https://www.kikonet.org/press-release/2021-06-15/Goldman-Environmental-Prize

https://www.goldmanprize.org/pressroom/2021-press-resources/?pressrelease=true&language=2

https://www.goldmanprize.org/recipient/kimiko-hirata/