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ESG情報やサステナブルファイナンスの英情報メディア「Responsible Investor」編集長のソフィーさんが退職(RIEF)

2021-12-03 18:51:31

Sophiaキャプチャ

 

 英国のESG情報メディアの「Responsible Investor(RI)」で編集長を務めるソフィー・ロビンソン・ティレット(Sophie Robinson-Tillett)さんが今月7日で、同社を離れる。 ソフィーさんはRIに2016年から5年の間、所属してきた。その間、RIの日本での年次イベント「RIアジア」等で、彼女から取材を受けた日本のESG関係者も多い。

 

 ソフィーさんは英国ロンドン大学のゴールドスミス・カレッジでジャーナリストの修士号取得後、地域コミュニティの情報誌編集やフリーランス等を経て、環境金融情報分野の草分けとして知られるEnvironmental Finance(EF)の記者として働いた。その後、RIに転じて経歴だ。

 

 ESG分野の主要英メディアであるEFとRIの両方で健筆を奮ったことになる。RIでは、記者として、編集者として、気候リスク問題のほか、EUのサステナブルファイナンス行動計画や規制等の展開を克明にフォローしてきた。さらに、グリーンボンド、ストランデッドアセット、再エネ、SDGsと幅広い分野をカバーしてきた。

 

 2020年2月に、前任編集長のHugh Wheelan氏が共同代表責任者に昇格後、編集長に就いた。その後、RIは今年夏、イベントネットワークのPEIに買収された。PEIの傘下に入った後も、RIでの情報発信は続いているが、RI自体はサステナブルファイナンス等でのグローバルイベントを強化する方向に向かっているとみられる。こうしたRIの変化が彼女の活動に影響を及ぼしたかどうかは、不明。

 

 筆者も彼女から何度か取材を受けたほか、RIアジアのパネル等で同席した経験もある。扱いが微妙なテーマを記事化する能力や、記者に必要な「敏感力」に長けたジャーナリストだったと思う。

 

 ESG投資やサステナブルファイナンスに関する記事は、日本のメディアにも多く登場するようになってきた。ただ、「環境分野ならOK」「サステナビリティなら安心・安全」といった無批判な記事や、政府が担うべき政策責任を棚上げして、民間のサステナブルファイナンスを称賛する「ウオッシュ」記事も横行している。

 

 RIはソフィー編集長の下で今年10月、第一回「Aviva Investors Sustainability Media Awards」を受賞した。RIが「Publication of the Year」に輝き、2人の若手記者が「 Best Editorial ESG Campaign and Best News Story」を受賞した。

 

 受賞を受けて編集長のソフィーさんは「われわれが大きな目標を達成しようとするならば、サステナブルファイナンスに関する報道を進め、豊富な情報にチャレンジしていく必要性は明らかで、かつ増大している」と、メディアの役割を強調している。

 

  ソフィーさんが活躍する次の舞台がどこかは、まだ公表されていない。後任のRI編集長は、間もなく公表される。

                     (藤井良広)

https://www.responsible-investor.com/articles/sophie-robinson-tillett-leaves-responsible-investor