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MS&ADインシュアランスグループホールディングス、石炭火力発電向け保険引き受けと投融資を「例外」なしで全面停止へ。東京海上、SOMPO等も追随か(各紙)

2021-06-25 00:19:17

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 各紙の報道によると、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に持つ国内外は25日から、国内外の石炭火力発電所の新設建設工事での保険引き受けと投融資を全面停止する方針を打ち出す。同社を含め、日本の損保3社は昨年、新規引き受けと投融資を原則停止する方針を示していた。MS&ADはこの「原則」のほか例外規制も削除し、「脱炭素」化を強化する。

 

 日本経済新聞が報じた。東京海上ホールディングスやSOMPOホールディングスも追随する可能性が高い。政府の「2050年ネットゼロ」目標宣言と政策修正が明瞭になってきたほか、実際に国内外での新規の石炭火力発電事業の見直しや停止が進んできたことで、「原則」等の例外規定を取り除くことにしたとみられる。https://rief-jp.org/ct2/107055

 

 石炭火力事業に限らず、大規模なプラント建設に際して事業会社や商社等は保険に加入することが前提になる。工事期間中の自然災害や事故に備えた建設工事保険や火災保険等を付与していないと、金融機関からの融資も得にくいためだ。一方、保険会社にとって、気候変動の大きな要因である石炭火力事業への支援は、自然災害増大による火災保険等の保険金支払い増大を招来する形でもある。

 

 こうしたことから、欧米の大手保険会社の大半は、石炭火力事業等の事業や、炭素集約型融資比率の高い企業への保険引き受けを制限ないし停止する方針を打ち出している。これまで日本の損保の動きは欧米の保険会社に比べて遅かったが、昨年、損保3社が足並みをそろえて、石炭火力発電事業等の保険引き受けの原則停止等を宣言した。しかし、原則に伴う例外規定が付されており、その実効性に疑問も出ていた。https://rief-jp.org/ct2/106826

 

 今回、MS&ADはこの「原則」の文言を削除し、これまで「エネルギー安定供給に必要不可欠な場合は慎重に対応する」としていた例外規定をなくすとしている。この「原則」の下で、新興国でエネルギー政策上不可欠とされる新設工事については、例外的に引き受ける扱いとしていた。だが、今後はそうした場合も見合わせるという。ただ、すでに契約を実行している既存施設の修繕工事や、労災や傷害保険など建設従業員向けの保険引き受けは続ける。

 

 昨年の「原則方針」から一気に停止の方向を宣言するのは、政府の「ネットゼロ」宣言に加えて、これまで経済産業省主導で政府が拘ってきた海外での石炭火力発電事業への公的ファイナンスについて、米国の強い圧力を受けて年内にも停止を宣言せざるを得なくなったことも大きいとみられる。

 

 海外の保険会社では、今年4月、仏アクサが主導して保険引き受けや投融資で脱炭素に向けた取り組みを進める「ネットゼロ・インシュアランス・アライアンス」を発足させている。

https://www.ms-ad-hd.com/ja/news.html