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東京海上日動、電力小売り事業者向けに、卸電力の価格変動リスク保険発売へ。予め設定した気象条件と、卸価格上昇を条件に、卸売市場からの追加調達額を補償(RIEF)

2022-06-26 13:50:27

tokio001キャプチャ

 

 東京海上日動火災保険は24日、電力小売り事業者向けに、卸電力市場の価格変動リスクを補償する保険の取り扱いを始めると発表した。脱炭素に向け、再生可能エネルギー由来の電力への需要が高まる一方で、グローバルなエネルギー市場の変動激化を受けて、電力卸売市場の価格変動の影響も高まっている。想定外の価格高騰等によって、小売事業者の中には経営破綻や事業撤退等に直面するところが出ていることから、東京海上では卸売電力の価格変動リスクを保険でカバーすることを提案する。

 

 東京海上が売り出すのは「電力卸売価格変動保険」。電力小売り事業者が、①天候が、予め設定した気象条件(猛暑または厳冬等)に該当、 ②小売事業者が電力卸売市場から調達した電力の価格が通常想定される範囲を超えて高騰し、予め設定した水準を超える。この二つの条件に合致する際に、事業者が電力卸売市場からの電力調達で追加支出した費用を補償する。具体的な補償内容は、オーダーメイドで設計する。

 

 従来は、電力卸売価格の変動リスクを補償する保険商品はなかった。だが、今回、同社はグループのデータ中核機能を担う「東京海上ディーアール社」と連携し、電力卸売価格や天候等のデータ解析(Powered by 「dRIVEN」)を実施、さらに電力価格の変動リスクや天候リスク引受けで強みを持つ「Munich Reinsurance Company」グループの「New Reinsurance Company (NewRe)」に再保険をすることで、新たに同保険の引受枠組を構築した。

 

 電力小売り事業者向けの保険はこれまでもあったが、今回の東京海上の保険商品は10億円以上の補償にも対応できるという。保険料は数千万円以上から設定する。再保険を活用することで高い支払限度額にも対応できる。

 

 わが国の電力市場では、2020年末から天然ガスのグローバルな不足等の影響から卸売価格が急激に高騰。それまで1kW時当たり10円前後の価格が、21年1月15日には一時251円まで急騰。小売電力事業者は仕入れ電力価格の上昇で経営危機に直面、破綻したり、需要家との契約解消等に追い込まれた事業者も相次いだ。

 

 東京海上では、「今回の新商品の提供を通じて得られた知見を活かして、保険の開発をさらに進め、電力市場において、 小売電気事業者のみならず様々なステークホルダーが抱えるリスクを補償することで、電力市 場の安定的な発展を支援し、カーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に貢献していく」とコメントしている。

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/220624_01.pdf