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東京海上日動、オリックス子会社のOREMと共同で、既存太陽光発電所の自然災害リスクや収益性の診断サービス開始へ。太陽光発電事業のM&A増大に対応(RIEF)

2022-10-05 23:31:43

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 東京海上日動火災保険は5日、オリックス・リ ニューアブルエナジー・マネジメント(OREM)と共同で、 既存の太陽光発電所を対象として、同発電所の自然災害リスクや収益性を評価・診断するサービスを開始すると発表した。太陽光発電所は固定価格買取制度(FIT)の買取価格の低下と、新規開発適地の限定によって、既存発電所への需要が高まっている。こうした需要に伴うリスク評価事業の拡大を見込んでいる。

 

   (写真は、2018年の西日本豪雨の際、パネルが崩壊した兵庫県姫路市の太陽光発電設備)

 

 政府の2030年温室効果ガス排出量46%削減の目標達成に向けて、再エネ事業の拡大が求められている。これまで再エネ事業の主力となってきた太陽光発電については引き続き拡大が求められるが、2012年のFIT制度施行以降の開発で、大規模なメガソーラーの開発余地は減少している。

 

 そこで市場では既存の稼働済太陽光発電所を売買するニーズが増大しており、セカンダリー市場(中古市場)も活発化している。企業のコーポレートPPA需要の増大もこうした既存の再エネ電力需要の増大の要因になっている。

 

 ただ、既存の太陽光発電所については、自然災害発生時に土砂崩れ等でパネルが瓦解したり、近隣にも損傷を与えたりする事故リスクが指摘される。そうした事故に見舞われると、想定通りの発電出力を確保できない発電生産性の低下リスクも顕在化する。

 

 これまで東京海上は、グループの東京海上ディーアール(TdR)を通じて太陽光発電事業の市税災害リスク診断サービスを提供してきた。一方、OREMは太陽光発電所のアセットマネジメントやAI等の先進デジタル技術を活用したO&M(運営管理・保守)などの事業を展開してきた。同社がO&Mサービスを受託した80以上の発電所(約400MWp)では、太陽光エネルギーが電気に変換される比率(PR値)が平均4%改善する実績をあげているという。

 

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 こうした両社のサービスをドッキングして、既存太陽光発電所の売買実行の前に、対象発電所が抱える自然災害リスクの調査や、最大損害額評価等を、発電所売買を想定する事業者に提供することを目指す。OREMのノウハウでは、既設発電所での顕在リスクだけでなく、潜在的なリスクも抽出して健全性を評価することに加え、発電所の管理に関する改善提案と改善後の収益シミュレーションも実施する。

 

 診断サービスは対象とする発電所の規模によって異なるが、一件当たり200万円以上を想定しているという。ただ、同サービスはあくまでも診断であり、実際に自然災害が発生した際の損害補填は別途、保険に加入する必要がある。

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/221005_01.pdf