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グローバル市場での大災害債(キャットボンド)、今年の上半期の発行額はすでに昨年の年間発行額を上回る。1件当たり発行額も増大。気候災害増大で保険需要が資本市場にシフト(RIEF)

2025-07-09 22:37:44

スクリーンショット 2025-07-09 220731

写真は、Artemisのサイトから引用)

 

  保険市場と資本市場をつなぐカタストロフィー・ボンド(大災害債:キャットボンド : Catastrophe bond)の今年これまでの発行額が、早くも2024年の年間発行額を上回った。同ボンドのグローバルレベルでの発行額は、この半年で、昨年年間の発行額を上回る178億㌦(約2兆6000億円)となり、200億㌦台が目前となっている。各国政府による気候変動対策が、米国を中心として優先度を低下させていることで、逆に、市場や社会で気候災害の増発への懸念が高まっていることを映す形とも読める。

 

 キャットボンド等の専門サイト等によると、グローバル市場では7月初めに、英再保険会社のAriel Reによる1億5000万㌦のキャットボンド「Titania」の発行までのほぼ半年間で、昨年の年間発行額を超えた。このうち、プライベート・キャットボンドや「Rule 144A」キャットボンド(米証券法の規定で、適格機関投資家以外の一般投資家にも販売できるボンド)の発行総額は$177.1億㌦超となった。

 

 これまでのキャットボンドの年間最高発行額は、2024年の176.9億㌦。今年はすでにこの発行額を上回っているほか、現在、発行準備中(市場パイプライン段階)の案件が3.15億㌦分あり、これらを加えた今年の発行額は181.3億㌦に達する見込み。今年はまだ半年を過ぎたところで、単純にみると、現行の発行額の倍の市場規模になる可能性もあるといえる。

 

CATボンドの年間発行総額の推移=Artemisより
CATボンドの年間発行総額の推移=Artemisより

 

 専門メディアのArtemisによると、今年の第一四半期のキャットボンド発行は34本で発行額71億㌦。前期(24年第4四半期) の84億㌦に次ぎ、四半期ベースの発行額としては前期に次ぐ規模だった。第二四半期は38件の発行で総額105億㌦と過去最大の発行規模の四半期となった。このうち5月は、同月だけで約60億㌦の発行額で、月別で最大の発行月となった。

 

 キャットボンド1本当たりの発行額は、昨年が年間平均で1億9026万㌦。これに対して今年のこれまでの平均は、2億4073万㌦で、昨年より1本当たり、ほぼ27%増となっている。発行額が増えただけでなく、1本当たりの平均取引高が増大したと言える。

 

 今年のこれまでの発行件数の中には、日本勢では損保ジャパンが3年ぶりに「サクラCATボンド」(1億5000万㌦)を発行したほか、JA共済が昨年に続いて「Nakama Re 2025-1」(1億㌦)を発行している。いずれも国内の地震のほか、気候変動で激化する洪水や津波、火災等を対象とする。https://rief-jp.org/ct2/154572?ctid=   https://rief-jp.org/ct6/155395

 

 Artemisは今後のキャットボンド市場の増大を妨げる可能性のある要因は、重大な市場混乱または一連の重大なカタストロフィー損失イベントの発生で、キャットボンド投資家でも損失を引き受けきれないような事態が起きる場合のみと考えられる、としている。

                            (藤井良広)

https://www.artemis.bm/dashboard/cat-bond-ils-market-statistics/

https://www.artemis.bm/news/catastrophe-bond-issuance-breaks-annual-record-already-in-2025-at-over-17-8bn/

https://www.ja-kyosai.or.jp/news/2025/20250421.html