6月の世界の平均気温は「16.46℃」。同月では観測史上3番目の高気温。欧州の地中海沿岸部で干ばつと大規模熱波が発生。「体感温度48℃の熱ストレス」も。海面上でも「海洋熱波」(RIEF)
2025-07-10 17:11:10
(上図は、西欧・南欧で激化する熱波と「極端な熱ストレス」=C3Sの公表データから引用)
6月の世界平均気温は16.46°Cで、1991~2020年の同月平均より0.47°C高く、同月の平均気温としては観測史上で3番目に暖かい6月だった。産業革命前からの気温の上昇は「1.3℃」で、5月に続いて「1.5℃超え」は避けられた。一方で、欧州と地中海沿岸地域では3月中旬以降、長期にわたる干ばつが続いている。干ばつの影響もあり、6月中旬から下旬にかけ、西欧と南欧の広範な地域で大規模な熱波が発生。ポルトガルの一部では体感温度が約48°Cに達し、『極端な熱ストレス』が起きた。
EUのコペルニクス気候変動サービス(C3S)が発表した。地域別でみると、6月の欧州陸地の平均気温は、世界全体より2℃高く、18.46°Cだった。1991~2020年の6月平均より1.10°C高く、記録上5番目に暖かい6月だった。このうち、西欧全体の平均気温は20.49°Cで、1991~2020年の平均を2.81°C上回り、これまでの同月の最高気温だった2003年(20.43℃)を上回り、記録上最も暖かい6月だった。https://rief-jp.org/ct8/157964?ctid=70
欧州以外では、米国のほか、カナダ北部、中央アジア、東アジア、西アンタークティカで平均を上回る気温となった。一方で、南米南部では平均を下回る気温となり、このうちアルゼンチンとチリでは記録的な寒さが観測された。インドと、南極大陸の東部の東アンタークティカでも、平均を下回る気温が観測された。
6月の気候変動の特徴は、昨年のような極端な気温の上昇は一段落した模様だが、欧州において西欧と南欧でそれぞれ、記録的な熱波が2度にわたって発生、体感温度が38°Cを超える「非常に強い熱ストレス」に相当する状況が観測された点だ。特にポルトガルの一部では体感温度が約48°Cに達し「非常に強い熱ストレス」を上回る「極端な熱ストレス」状態になった。
欧州の熱波は、最初の波が6月17日から22日にかけてピークに達し、西欧と南欧の広範な地域に影響を及ぼした。2回目の熱波は6月から7月への月の変わり目に発生し、同じ地域で6月30日から7月2日にかけてさらに極端な高温が観測された。
第2の熱波期間中、複数の国で地表気温が40°Cを超え、スペインとポルトガルでは最大46°Cに達した。両熱波の発生は、暖かい空気を閉じ込め、長期間にわたって暑く晴れた乾燥した天候を続ける持続的な高気圧システム(いわゆる「ヒートドーム」)が生じたためとみられる。連続熱波の発生によって、大気中のオゾン汚染の増加と山火事リスクも高まった。
気温の上昇は大気中だけではなく、海面水温も上昇した。北緯60°~南緯60°での同月の平均海面水温(SST)は20.72°C。6月の水温としては過去最高だった昨年6月の20.90℃に比べて、0.13°C分、低いだけで、記録上3番目に高い値だった。
海面水温の上昇によって、同月には、地中海西部で異常な「海洋熱波」が発生し、地域全体では同月として過去最高の日平均SST(27.0°C)を記録した。これは、月別の日平均SST異常値としても過去最高(平均比3.7°C上昇)に相当した。海洋の魚類たちも「熱ストレス」に見舞われた可能性がある。
各地の気象条件の変化としては、欧州では、西欧と南欧、イギリスの大部分、スカンジナビア南部の一部、およびロシア西部の一部で平均より乾燥していた。一方、アイスランド、アイルランド、イギリス北部、デンマーク、フェノスカンディアの大部分、バルト諸国、ベラルーシ、ウクライナとロシアの一部では平均より湿潤だった。
欧州以外では、北米北部とカナダの大部分、東アフリカ、アラビア半島、中央アジア、中国東部と日本、オーストラリアの大部分、南アフリカ、および南米南部の大部分では、平均より乾燥した状態で、米国南部とメキシコ北部、北アジアと南西アジア、中国の一部、オーストラリア北部、ブラジル南部では、平均より湿潤な状態だった。
C3Sでは、「欧州で、これほど広い範囲が3か月以上連続して干ばつに見舞われたのは干ばつの観測を開始して以降初めて」としている。C3Sは、干ばつの継続によって、欧州での山火事リスクが高まっていると警告している。
ECMWF(欧州中期天気予報センター)気候戦略責任者のサマンサ・バーグス(Samantha Burgess)氏は「今年の6月は、西欧の広範な地域で異常な熱波の影響を受け、地域の多くが非常に強い熱ストレスを経験した。この熱波は、地中海西部での記録的な海面水温によりさらに強化された。温暖化する世界では、熱波は欧州全土でより頻繁に、より激しく、より多くの人々に影響を与える可能性が高い」と指摘している。
北極の海氷面積は、平均比6%減で、47年間の衛星観測史上で6月としては2番目に低い月間面積となった。また同月の後半には、日ごとの面積が年間を通じて最も低い水準が続いた。地域別では、ユーラシア大陸の北部沿岸(バレンツ海、カラ海、ラプテフ海)で平均を下回る海氷濃度が顕著だった。一方で、南極海氷の範囲は平均比9%減で、6月としては記録上3番目に低い水準だった。南極海氷の濃度は、ベリングハウゼン海と東南大西洋で平均を下回る濃度が支配的だったとしている。
(藤井良広)
https://climate.copernicus.eu/heatwaves-contribute-warmest-june-record-western-europe

































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