英政府。ロシア産LNGの輸送に英保険会社が保険を付与することを禁止へ。来年中に段階的に実施。三井物産・三菱商事がロシアと共同開発しているサハリン2のLNG輸入継続も正念場(RIEF)
2025-11-12 20:54:22
(写真は、サハリン2から日本にLNGを輸送するタンカー=BBCニュースから引用)
英政府は11日、ロシア産のLNGに関する海運ビジネスを禁止すると発表した。LNG運搬の海運事業のほか、同事業に伴う海上火災保険付与も禁止する。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する追加制裁の一環だ。カナダで開いたG7外相会議で、各国に表明する。実際の海運・保険事業への適用は、2026年中に段階的に実施するとしている。同措置が実施されると、三井物産、三菱商事がロシアと共同で開発し、日本に輸入しているサハリン2のLNG開発・輸入の継続が出来なくなる公算が高い。
各紙の報道などによると、英外相のイヴェット・クーパー(Yvette Cooper)氏が11~12日にカナダで開催中のG7外相会議で正式に公表した。ロシア産LNGへの海運サービスの提供禁止はウクライナを侵略するロシアの戦費調達を抑える狙いがある。英政府は声明で、「この禁止措置は欧州のパートナーと足並みを揃え、2026年にかけて段階的に実施される」としている。
日本の大手商社2社が関与しているサハリン2事業は、日本の経済産業省がロシア側と連携して主導してきた。、英シェルがロシア側と日本の2社との連携で設立したサハリンエネジー社が、運営会社になっている。主要オペレーターだったシェルは、ロシアのウクライナ侵攻後、すでに撤退し、その保有分を含めてロシア国営ガス会社のガスプロムが過半数を保有。日本の2社は引き続き権益を保有、LNGを日本に輸入している。https://rief-jp.org/ct10/126260?ctid=
サハリン2事業については、米財務長官のスコット・ベッセント(Scott Bessent)氏が10月半ばに米ワシントンで開いたG7財務相・中央銀行総裁会議の際、日本の加藤勝信財務大臣(当時)との会談で、ロシアのウクライナ侵攻を終了させる対策として、トランプ大統領が、日本がロシア側と開発しているサハリン2プロジェクトからのLNG輸入を停止することを期待していると伝えたとされている。https://rief-jp.org/ct4/161664?ctid=72
米財務省は昨年11月、ロシアへの追加制裁として、ガス大手ガスプロム系列のガスプロムバンクを含む複数の金融機関の取引を制限すると発表。一方で、ガスプロムバンクが資金決済に関わるサハリン2に関連する取引は、今年6月まで許可するとしていた。その後、6月時点で、同許可について、12月19日未明まで延長すると発表している。
今回の英政府の措置は、サハリン2を含めたロシア産LNG全体を対象としたもので、G7としての共同歩調をとることを各国に求める行動でもある。日本政府は、サハリン2から輸入するLNGは、日本のLNG輸入量全体の9%に相当するとし、輸入を停止すると国内のガス価格等への影響が大きいとして、同LNGの輸入停止措置に対しては難色を示してきた。
しかし、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻から4年近くが経過しており、G7の一員である日本政府として、対ロ制裁の共同歩調をとる必要性は高まっている。さらにこれまでにも、輸入先の変更等の対応する時間はあったほか、日本商社等が海外から輸入するLNG(サハリン2を含め)の37%(2023年度)は実は国内で消費されずに、海外に転売されていることも明らかになっている。しかも、商社らによる最大のLNG転売先はロシアのウクライナ戦争を支援する立場の中国で、その規模は日本国内のガス需要全体の約2割超に相当するという。https://rief-jp.org/ct7/162154?ctid=72
こうした経緯から、日本政府がサハリン2からのLNG輸入を、国内のエネルギー対策を理由としてさらに延長し続けることは、困難とみられる。LNGの輸入契約は長期間にわたるのが普通だが、対ロ経済制裁というG7諸国が2022年以来抱えている国際政治課題への対応だけに、高市政権の「政治手腕」が問われる局面といえる。
(藤井良広)

































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