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神戸製鋼、資源大手のヴァーレ、三井物産と連携、天然ガスを還元剤とするCO2排出量の少ない鉄鋼生産技術を世界市場で販売へ。鉄鋼も「低炭素」がビジネスチャンスに(RIEF)

2020-07-14 12:01:25

Midrex002キャプチャ

 

 神戸製鉄は、ブラジルの資源大手のヴァーレ(Vale S.A.)、三井物産と連携し、CO2排出量の多い鉄鋼生産プロセスを低炭素化する製鉄技術を世界の鉄鋼関連企業に販売することで合意した。神鋼の米子会社のMIDREXが開発した天然ガスを使う還元鉄の販売や同製造設備等をマーケティングする共同ベンチャー企業「NewVen」を立ち上げる。鉄鋼業の低炭素化では世界最大の鉄鋼メーカーのアルセロール・ミダルが水素還元法を開発するなど、世界で技術競争が進んでいる。

 

 (写真は、神戸製鋼がオマーンで建設したMIDREXプロセスを使った鉄鋼プラント)

 

 3社は、世界の鉄鋼業界向けに低炭素鉄源および低炭素製鉄ソリューションを共同販売していくことで合意した。 鉄鋼は、高CO2排出事業の代表格だが、同時に、社会インフラや自動車などの耐久消費財などに幅広く活用されている。気候変動対策としての低炭素化は鉄鋼業においても例外ではなく、世界的に鉄鋼業でのCO2排出削減ニーズが高まっている。

 

 3者連携の軸となるのが神鋼子会社のMIDREXが開発した天然ガスを還元剤に活用するプロセス。同手法は、世界の還元鉄生産量の 60%以上を占めるリーディングプロセスとして知られる。天然ガス (もしくは石炭由来のガス)を還元剤とするため、鉄鋼石をコークスで還元する高炉法に比べ製鉄工程でのCO2排出量を抑えることができる。

 

MIDREXの天然ガス還元プロセス
MIDREXの天然ガス還元プロセス

 

 天然ガス等を還元剤とし、粉鉱石を加工したペレット等をシャフト炉によって還元して、還元鉄を製造できる。この還元鉄が高級スクラップや銑鉄の代替品として主に電気炉の鉄源として使用される。

 

 3社は、MIDREXの技術を使って還元した還元鉄や、同プロセス技術、同プロセスを導入した還元鉄プラント、関連するサ ービス等をグローバルな鉄鋼市場に向けて販売していくとしている。

 

 鉄鋼製造工程の低炭素化では、世界最大の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミダル(ArcelorMittal)が、欧州市場において、鉄鋼製造に要するエネルギーをすべてクリーンエネルギーとし、燃焼で発生するCO2を吸収する「スマート・カーボン」技術と、グリーン水素を活用した還元鉄(DRI)高度化技術の活用を公表している。http://rief-jp.org/ct4/104097?ctid=70

https://www.kobelco.co.jp/releases/files/20200713_1_01.pdf