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トヨタと東大等、ブロックチェーン技術を活用した消費者向けの電力取引システム(P2P)実証実験で、約9%の電気料金削減や電動車の走行電力の再エネ化等の成果(RIEF)

2020-11-18 17:15:17

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 トヨタ自動車未来創生センターと東京大学、TRENDEの3者はで、ブロックチェーンを活用して、住宅や事業所、電動車間での電力取引を自律的に行う次世代電力取引システム(P2P電力取引)の実証実験で、一般家庭の電気料金を約9%削減したほか、電動車の走行利用電力の43%を再エネとし、CO2排出量を38%削減することを確認した。今後は電動車ユーザーや一般家庭に向けた同取引サービスの提供のほか、国内だけでなく海外での事業展開も検討するとしている。

 (上図は、実証実験の流れ)

 3者の実証実験は、2019年6月17日から2020年8月31日にかけて、トヨタの東富士研究所と周辺エリアの20軒のトヨタ社員の住宅を活用して実施してきた。実験に参加する家庭や事業所がアクセスできる電力取引所を新設したほか、家庭や事業所、電動車ごとにAIを活用した、電力消費や太陽光パネルの発電量等の予測・エネルギー管理システム(電力取引エージェント)を導入した。

 実験の検証事項は、①家庭や事業所、電動車(PHV)がアクセス可能な需給状況で価格が変動する電力取引市場②市場での取引電力の発電源の特定と、発電から消費までをトラッキングするシステム③人工知能(AI)を活用し、電力消費や太陽光パネルの発電量予測等に応じた電力の売買注文ーーの3点。

 その結果、実証実験に参加した一般家庭(電動車を含む)の電気料金を約9%低減できたほか、再エネ利用面でも、電動車の走行利用電力の43%を再エネとし、CO2排出量を38%削減できるなど、明確な成果を得られたとしている。

実証実験の成果
実証実験の成果

 3者は、今回の実験で活用した分散型電源の制御インフラを使って、今後は電動車ユーザー、一般家庭ユーザーに向けたP2P電力取引サービスの提供を検討する。また電気料金の削減やCO2排出量削減、災害に強い街づくりにも貢献したいとしている。将来は、海外でもパートナー企業・大学と連携して展開することも検討対象に加えている。

 今回、開発で軸になったのが、電力取引エージェント。家庭や事業所の電力消費と太陽光パネルの発電量予測に応じて、電力取引所に電力の買い注文・売り注文を出す役割を果たす。各家庭や事業所から電力取引所に集約された買い注文・売り注文を一定のアルゴリズムでマッチングさせ、電力の個人間売買を担当した。

 また自ら分散型電源を保有する需要家(プロシューマー)と、電力消費者が需給状況に応じた変動価格で電力を売買することの経済性と、プロシューマーが発電した電力を、他の需要家と直接売買する双方向・自律型の電力供給の有効性についても、検証した。

 トヨタは、家庭、事業所、車両の3種類の電力取引エージェントの中で、車両用電力取引エージェントの開発を担当した。一般家庭全体の収支(2020年8月1日~8月31日)は、電力会社のみから電気を購入する場合に比較して、8.6%の改善があった。このうち、電力消費者の収支は6.1%、プロシューマーの収支は18.0%、電動車の収支は25.4%改善できることが確認されたとしている。

https://www.toyota.co.jp/jpn/tech/partner_robot/news/20201113_01.html