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ジョンソン英首相、ガソリン車等の2030年新車販売禁止措置を含む「10ポイント計画」正式公表。洋上風力発電4倍増。全家庭の電力を供給等(RIEF)

2020-11-18 13:05:45

Boris001キャプチャ

 

  ボリス・ジョンソン英首相は17日、「グリーン産業革命」を進めるため、ガソリン車・ディーゼル車の新車販売禁止措置を2030年に前倒しすることを含む10項目の「10ポイント計画」を正式に公表した。同計画により25万人の新規雇用を創出すると指摘している。ガソリン車等の新車販売禁止措置ではハイブリッド車は現行通り35年までとする。

 

 「10ポイント計画」は総額120億ポンド(約1兆6560億円)で、このうち80億ポンドが新規の上積みとしている。計画の柱となるガソリン車等の内燃機関エンジン車(ICE)の新車販売禁止措置は、現行の2035年から5年前倒しする。電気自動車(EV)の普及を促すためだ。HVは35年まで販売が可能だが、今後、EV価格の低下が見込まれることから、新車市場ではEV有利な環境になる。中古のガソリン車等の売買は可能。http://rief-jp.org/ct5/108241

http://rief-jp.org/ct10/108077

 

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 次いで洋上風力発電事業については、2030年までに現行の4倍の40GWに拡大することで、国内の全家庭への供給力を確保する。2030年までに地域の熱供給に水素エネルギーを導入する。家庭や公共施設の省エネ促進のため、21年に10億ポンド規模のファンドを設ける。

 

 エネルギー供給の安定性を確保するため、5億2500万ポンドを投じて小型モジュール型原子炉(SMR)の開発を進める。またカーボン回収・貯留事業(CCS)に追加で2億ポンドを投じる。航空機や船舶のグリーン化への支援を強化。クリーン船舶の実現に2000ポンドを供給する。

 

 このほか、自然保護策強化のため、毎年、3万haの植林を進めるほか、公共交通やサイクリング、ウォーキング等、CO2排出量の少ない移動・行動の促進策等も盛り込んだ。さらに、「グリーン産業革命」を支援するため、ロンドン・シティを「グリーンファイナンスのグローバルセンター」にする、と宣言した。

 

 ジョンソン首相は、「10ポイント計画」の遂行で、特に北イングランド、中央部のミッドランド、スコットランド、ウェールズ等を中心として25万人の雇用創出につなげるとしている。

 

 環境NGO等からは「同計画」を歓迎する声があがっている。ただ、グリーンピース英国のRebecca Newsom氏は「原発や化石燃料からの水素製造等を盛り込んでいる点で、ネットゼロの目標とは合致しない」と指摘している。

 

 野党労働党の影のビジネス相のエド・ミリバンド氏は、「従来の公約等を修正するなどで、かき集めた策でしかない。新規資金は40億ポンドでしかなく、独仏の気候対策策に比べ、大きく見劣りする。人々は今現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で職を失っている。今の雇用対策が求められている。この『計画』は基本的にグリーン支援策ともいえない」と批判している。

 

 グリーン党のCaroline Lucas氏も「これはショッピングリストであり、気候緊急事態へ対応する計画とはいえない。必要な措置の部分だけを集めただけだ」と指摘している。

https://www.gov.uk/

https://www.theguardian.com/environment/2020/nov/17/boris-johnson-announces-10-point-green-plan-with-250000-jobs