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パナソニック、2030年に全事業会社のCO2排出量ネットゼロ宣言。50年にはサプライチェーン含め、カーボン・ポジティブ目指す。次期社長の楠見雄規CEOが宣言(RIEF)

2021-05-28 12:23:52

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 パナソニックは27日、2030年にグループの全事業会社の事業活動に伴うCO2排出量をネットゼロの実現を目指すことを宣言した。2050年にはサプライチェーン等を含めて、「創るエネルギー」が「使うエネルギー」を上回る「カーボンポジティブ」を目指す。CO2削減に向け、省エネ取り組みの加速、自社での再エネ利活用の促進、再エネ調達の増大等を進めていく。

 

 (写真は、オンラインで会見する楠見CEO)

 

 6月に社長に就任する楠見雄規最高経営責任者(CEO)が同日のオンライン記者会見で表明した。政府の「2050年ネットゼロ」宣言を受けて、ネットゼロを2050年目標に掲げる企業が増えている。パナソニックは一歩、目標を前倒しして、2030年でのグループ事業会社でのネットゼロ実現を宣言した。

 

 対象となる温室効果ガス排出量(GHG)はScope1(事業活動からの直接の排出量)と、Scope2(光熱費等の間接排出量)。サプライチェーン等を含むScope3については2050年までのネットゼロ+ポジティブ化を目指す。楠見CEOは「環境問題の解決をリードする会社になる」と宣言した。

 

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 同社の事業活動に伴うCO2排出量は、19年度実績で223万㌧。これを2030年までに実質ゼロにする。日経平均採用銘柄225社のうち、CO2やメタンなどを含め「カーボンニュートラル」を目標に掲げる企業はほぼ4割。ただ、その多くは目標年限を2040~50年に置いている。

 

 これに対してグローバル企業では、たとえばアップルの場合、製造委託先などのサプライチェーンを含め、Scope1~3全体で、2030年にカーボンニュートラルを目標として掲げている。アップルは同目標達成を日本市場でのサプライヤーにも適用している。同社以外でも欧米では30年目標を採用する企業が増えている。パナソニックは国内企業との横並びではなく、グローバル基準への適合を目指すことになる。

 

 目標実現の手法として①省エネ取り組みの加速②自拠点における再エネ利活用③再エネ調達、の3点を強調している。省エネと再エネの強化だ。自拠点への燃料電池の導入や買収する米社ブルーヨンダーのソフトウエアを利用した「ムダ」排除による環境対応を全社で進める。社内対応で開発した技術・手法について、製品・サービス化できるものは社外にも販売し、気候リスク対応をビジネスに転換する。

 

 スマートエネルギーシステム事業部草津工場には太陽光発電と、水素燃料を使った新型燃料電池を軸に据えた発電システムを導入し、再エネ100%を実現する。草津工場の成果を踏まえて、他の事業拠点にも拡大していくほか、2023年度以降には外販も目指す。太陽光発電で自社使用分を上回る電力の外販も展開する。

 

 導入する省エネ技術としては、年内に買収するブルーヨンダーの技術を活用する。同社は、AIによって事業活動に必要となる電力需要予測をはじき、最適なサプライチェーンを提案するソフトウエアを開発しており、同手法をパナソニック自体でも活用する。

https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/20210527_vision_j.pdf