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中部電力、4月の公取委立ち入りで起債を見送っていたグリーンボンドを発行。公取委の調査終了を踏まえ。現在検査を受けている九州電力は6月に発行済み(RIEF)

2021-07-14 17:11:21

Chubudennキャプチャ

 

 中部電力は、4月に公正取引委員会の価格カルテル疑惑調査を受けた影響で、記載を見送っていた同社初のグリーンボンドを3カ月遅れで発行した。発行額00億円、期間10年等の発行条件等には変更がない。

 

 同社は当初、3月後半に、グリーンボンドの発行を公表した。「2050年ネットゼロ」に向けた同社グループの新方針である「ゼロエミチャレンジ2050」を打ち出し、その一環として、積極的・効率的な投資を進めるため、グリーンボンドなどによる資金調達の多様化を図る方針を示していた。

 

 しかし、4月に公取委から立ち入り検査を受けた。家庭向けの電力とガスの販売で、同社と販売子会社の中部電力ミライズが、中部地域で競合する東邦ガスとカルテルを結んだ疑いのほか、大規模工場向けの特別高圧電力や企業向けの高圧電力の供給では関西電力、中国電力と互いの顧客の獲得を制限するカルテルを結んでいた疑いだった。

 

 このため中部電力は、グリーンボンドの主要投資先となるESG投資家の需要が減退する懸念等を踏まえて、起債を見送った。同社は「投資家や市場に与える影響を総合的に勘案した」と話していた。https://rief-jp.org/ct4/113153

 

 今回、改めてグリーンボンドの発行に踏み切ったのは、公取委の調査結果を踏まえたものと思われる。現在、公取委は、九州電力、関西電力、中部電力等を対象として、中部電力の場合と同様に、企業向けカルテル疑惑で検査を実施している。

 

 現在、公取委の検査を九州電力は、検査を受ける1カ月前の6月10日に、150億円のグリーンボンドを発行済みだ。電力会社のグリーンボンド発行は、昨年に東北電力が二度にわたって発行したのが最初で、当初、中部電力が2社目の発行となる予定だった。公取委検査の影響で、2社目が九電となり、中部電は3社目となった。https://rief-jp.org/ct4/114943

 

 中部電力が今回発行するグリーンボンドは、発行額100億円、期間10年、クーポン利率は0.300%。発行日15日。主幹事はSMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券。グリーン性については、DNVビジネス・アシュアランス・ジャパンが国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)等への適合を付与するセカンドオピニオンを出した。

 

 調達資金は、すべて再生可能エネルギー事業に充当するとしていた。同社は2030年頃に再エネ電力だけで200万kW以上開発することを目標としている。

https://www.chuden.co.jp/publicity/press/1206696_3273.html