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日銀、「気候変動ファイナンス」促進のため、環境対応の投融資を行う金融機関向けに「金利0%」のバックファイナンス資金を供給へ。年内に実施(RIEF)

2021-07-17 02:37:43

BOJキャプチャ

 

 日銀は16日、「気候変動に関する日本銀行の取り組み方針」を公表した。「気候変動問題は、中長期的に、経済・物価・金融情勢に極めて大きな 影響を及ぼしうる」と指摘し、中央銀行の立場から民間の気候変動対応を支援することは、「長い目でみたマクロ経済の安定に資する」とした。具体策として、環境対応の投融資を行う金融機関に対し、金利0%で日銀が資金を融資するバックファイナンス措置を正式に決めた。年内をメドに実施する。

 

 日銀の「気候ファイナンス」は6月18日の政策委員会・金融政策決定会合で合意していた。今回の方針は、政策委の合意を具体化したものだ。金融機関が日銀当座預金に預ける金利が0%となる部分を増やし、マイナス金利の適用を回避しやすくする。貸付期間は原則1年間だが、回数制限なしで借り換え可能とし、実質的に長期資金を供給するという。https://rief-jp.org/ct5/115429?ctid=71

 

 支援対象の投融資先としては、脱炭素に資する設備投資をする企業への融資やグリーンボンドへの投資等を想定している。炭素集約型企業が、低炭素・脱炭素化へ移行するための「トランジション・ファイナンス」も対象に含めた。

 

 ただ、そうした資金使途先を示す一方で、金融政策面への対応として市場中立性に配慮し、「中央銀行が直接、金融機関によるミクロ的な資源配分に具体的に関与することは、できるかぎり避けることが適当」とした。対象とする金融機関は「気候変動対応に資するための取り組みについて一定の情報開示を行っている金融機関が対象」としている。

 

 わが国では、金融機関が投融資する企業側の情報開示の法的な整備は進んでいない。このため、金融機関は投融資先の気候リスクをどう見極めるかという課題を抱えている。そうした中で、日銀から「気候ファイナンス促進を」と、背中を押される形でもある。投融資先の企業が抱える気候リスクの中には、気候対応技術の陳腐化や市場選好の変化等による移行リスクも含まれている。金融機関はリスク管理力が問われる形でもある。

 

 一方、日銀は、考査・モニタリングにおいては、金融機関の気候関連金融リスクへの対応状況や、取引先企業の脱炭素化に向けた取り組み支援等について、金融機関との間で「深度のある対話」を行う、としている。政府・日銀は、金融機関が投融資先との間で「深度があり、比較可能な対話」ができるよう、気候情報開示制度の早期導入を進めてもらいたい。

 https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210716b.pdf