HOME |EU排出権取引市場のカーボンクレジット価格、過去最高のトン当たり60ユーロ台に乗せる。短期的には天然ガス相場の影響、長期的には「ネットゼロ」へのクレジット需要増を反映(RIEF) |

EU排出権取引市場のカーボンクレジット価格、過去最高のトン当たり60ユーロ台に乗せる。短期的には天然ガス相場の影響、長期的には「ネットゼロ」へのクレジット需要増を反映(RIEF)

2021-09-01 17:48:16

EUAs001キャプチャ

 

  EU排出権取引制度(EU-ETS)のカーボンクレジット(EUAs)の先物価格が、トン当たり60ユーロ(約7800円)台に乗せた。8月30日に最高価格の60.76ユーロ(同7898円)を付け、31日もほぼ同水準で推移した。連動する英国のクレジット(UKAs)も51ポンド(=70.3㌦=7733円)と高値を維持している。

 

 1日のICE市場では取引開始後、61.350ユーロにまで上昇している。EUAs上昇の材料は、天然ガス相場の堅調さだ。ドイツとロシアを直結するノルドストリーム2問題が、米独の合意が明らかになったものの、パイプライン完成後もロシア産天然ガスの輸送量が急増しないとの見方からガス価格の堅調さが続き、ガス利用に伴うクレジット需要が増大したとみられる。

 

 また米国を襲ったハリケーンアイダの影響で、メキシコ湾沿岸の石油・ガス関連施設の多くが操業停止に陥ったことも、ガス価格を国際的にタイトにしている。長期的には「2050年ネットゼロ」の目標に向けて、脱炭素、再エネ転換等がグローバルに広がるとの見込みから、クレジット需要の増大が予想されている。

 

 EUAs、UKAsの両クレジットとも、一週間前に比べると、それぞれ10.6%、6.8%増と上昇ピッチが上がっている。EUAの価格にUKA価格も連動しているが、連動率はやや低下しているという。UKAの直近価格の50.75ポンドは、5月26日の51.1%を更新していない。UKAの週平均プレミアムは0.33ポンドで、前週の0.82ポンドから減少している。

 

 8月のEUAsの平均価格は48.20ユーロだった。

 

https://ember-climate.org/data/carbon-price-viewer/

https://www.theice.com/products/197/EUA-Futures/data?marketId=6173130